空調業務改善Navi
業務改善約16分で読めます

配管の拾い出しとは|積算基準に沿った手順と効率化のコツ

公開日:最終更新日:

編集・発行:

配管の拾い出しとは|積算基準に沿った手順と効率化のコツ

結論: 拾い出しは「区分ごとに、直線長さ+立上り・立下り」で数える

配管の拾い出しとは、設計図から配管の種類・材質・口径ごとの長さを読み取り、見積や内訳書の数量として集計する作業です。国土交通省の公共建築設備数量積算基準は、配管の数量を「直線長さ」とし、曲がり部は始点と終点に接して延長した直線の交点までの長さで測り、弁類などの配管附属品による欠除(その分を差し引くこと)はしない、と定めています。パッケージ形空気調和機などの冷媒配管は、立上り・立下りを見込んだ長さで数えます。

手順の要点は、①用途・材質・口径で区分する、②平面図で横引きを測る、③立上り・立下りを加える、④弁類などの附属品は個数で数える、⑤保温は配管の長さで数える、の5つです。民間工事では発注者の指定や自社の見積書式が優先されますが、公共の基準を物差しとして持っておくと、拾い方のぶれが減ります。

積算基準の計測ルール早見表

公共建築設備数量積算基準(令和7年改定)から、空調工事の拾い出しに関わるルールを抜き出しました。

対象数量の出し方
配管直線長さ。曲がり部は始点・終点に接して延長した直線の交点までの長さ
配管附属品による欠除弁類・防振継手・伸縮管継手・フレキシブルジョイント等による欠除はないものとする
冷媒配管(パッケージ形空気調和機等)立上り・立下り等を見込んだ長さ
冷温水等の分岐部・ファンコイルユニット接続主管等からの立上り・立下り等を見込んだ長さ
弁類・継手類形式・規格・呼び径ごとの個数
支持金物・吊り金物計測の対象としない(支持架台等は質量)
配管の保温配管の長さ
弁類・ストレーナ等の保温呼び径65以上を対象とし、個数
ダクトの長さダクト幅の中心線の長さ。曲がり部・分岐部は中心線を延長した交点まで
長方形ダクト長さに周長を乗じた表面積
スパイラルダクト口径ごとの長さ
長方形ダクトの保温ダクトの表面積

端数は四捨五入で、長さは小数点以下第1位、面積は第2位までとし、工事費内訳書の数量は原則として小数点以下第1位を四捨五入して整数にします(同基準 第1編 2 基本事項)。

なお同基準は、数量を原則として「設計数量」(設計図書の寸法から求めた数量)とし、施工計画により求めた数量を「計画数量」と呼んで区別しています。材料の手配量(ロスを見込んだ量)は、これとは別に自社で管理するものです。

手拾いの時間はどこに消えているか

拾い出しを分解すると、時間は次の4つに消えています。

工程内容時間を食う理由
図面の読み込み系統・階・シャフトの構成把握設計図の表現が物件ごとに違う
計測ルートをスケールでなぞる曲がり・立ち上がりの加算が手作業
集計口径別・材質別に転記して合算転記ミスの確認に二度手間
落ち穂拾い竪管・機械室まわり・詳細図の確認平面図に現れない配管を探す

見落とされがちなのは2点です。ひとつは高さ方向で、平面図だけを拾うと、基準が「見込んだ長さ」とする立上り・立下りがまるごと抜けます。もうひとつは集計で、拾った数字を口径別に写して足す段階の転記ミスが、拾い漏れの原因になります。

拾い漏れを防ぐ実務ルール

ツールを入れる前に、手拾いのままでも効く型があります。

  1. 拾う順番を固定する。屋外機まわりから系統順に、平面を左上から右下へ、と社内で順路を決めます。中断後の再開ミスが減ります
  2. マーカーで消し込みながら拾う。拾い終えたルートを塗りつぶし、白く残った線を未拾いとして見える化します
  3. 高さ方向は別表で拾う。階高・天井高・機器接続高さを先に一覧にし、立上り・立下りを平面とは別に集計します
  4. 曲がり部は交点まで測る。曲がりごとに半端な長さを足すのではなく、直線を延長した交点までの長さで測れば、基準と同じ考え方になり計測も速くなります
  5. 拾い書式を統一する。口径×材質×階のマトリクス表を全員が同じ形式で使えば、集計の転記が機械的になります
  6. 概算の物差しを持つ。自社の過去実績から「延床面積あたりの冷媒配管長」のような目安を持ち、拾い結果が大きく外れたら再確認します
PattoAI

施工計画書の作成や配管の拾い出しに、毎回時間を取られていませんか?

施工計画書の作成や図面からの配管長の拾い出しにかかる時間を、PattoAI で大幅に短縮できます。

拾い出しチェックリスト(自社作成)

提出前に次を確認します。

No.確認項目
1拾った図面の版数と日付を控えたか
2全系統・全階を拾ったか(消し込み漏れはないか)
3立上り・立下りを別表で集計し、合算したか
4竪管・機械室・屋上・詳細図の配管を拾ったか
5冷媒配管は液管・ガス管を口径ごとに分けたか
6ドレン配管・保温・ダクトを拾ったか
7弁類・継手類は個数で拾ったか
8端数処理のルールを全員でそろえたか
9概算の物差しと比べて大きく外れていないか
10本人以外が合計値と大物項目を確認したか

効率化の選択肢は3段階

段階1: PDF計測ツール

紙とスケールをやめ、PDF図面上で距離を測れるツールに替える段階です。縮尺を設定すればクリックでルート長を追え、計測履歴が残るため検算も楽になります。ただし「どこを拾うか」の判断は人のままなので、拾い漏れのリスク構造は変わりません。

段階2: 積算ソフト

管工事向けの積算ソフトは、拾った数量から材料表・見積内訳への展開までを自動化します。口径別の集計と単価の反映が一気通貫になるため、集計と転記の工程が消えます。物件数が多く、内訳書の書式が安定している会社ほど投資が回収しやすい選択肢です。

段階3: AIによる図面からの自動拾い

図面をAIに読み込ませ、配管ルートの候補と長さを拾わせる段階です。人の仕事は「ゼロから拾う」から「AIの拾い結果を確認して直す」へ変わります。全自動で完璧というより、初稿を出させて人が検収する使い方が現在地です。

PattoAIの空調版は、この段階3の「図面からの配管長積算」と、見積に続く施工計画書などの書類作成をあわせて支援するツールです。詳しくは空調工事向けPattoAIの紹介ページをご覧ください。

効率化を定着させるときの注意点

  • 検収の目を残すこと。ツールでもAIでも、最後に数字へ責任を持つのは自社です。概算の物差しでの妥当性チェックは自動化後も続けます
  • 拾いの根拠を残すこと。どの図面のどの版で拾ったかを見積に記録しておくと、設計変更時の増減協議で強い武器になります
  • 若手教育を飛ばさないこと。なぜその数量になるかを読める人がいないと、AIの誤りに気づけません。小さい物件の手拾いを一度は経験させる価値があります

拾いの精度を「組織の実力」に変える

第一に、拾い実績と実際の使用量を突き合わせます。竣工後に見積時の拾い数量と実際の材料使用量を比べ、差が大きかった項目を記録します。「立上りを平面から推定した物件は不足しやすい」のような自社の癖が見えれば、次の拾いの補正に使えます。

第二に、概算の物差しのデータベース化です。物件用途(事務所・店舗・工場)と延床面積ごとに、冷媒配管長・ダクト面積・見積金額の実績を蓄積すると、引き合いの初期段階で概算を即答できるようになります。

第三に、レビュー体制です。金額の大きい物件は、拾った本人以外が合計値と大物項目を確認します。拾い漏れの多くは「系統まるごと」「階まるごと」の大きな抜けなので、細かい検算より合計の桁感の確認のほうが事故を拾えます。

発注者・元請への数量説明も拾いの一部

拾った数量は、受注後の増減協議で必ず問われます。

  • 見積書の内訳は「配管工事一式」でなく、口径別・系統別の数量を残す
  • 拾いに使った図面の版数と日付を見積控えに記録する
  • 概算で出した部分は「概算」と明記し、実測後の精算条件を見積条件に書く

公共の積算基準と同じ考え方(直線長さと交点、立上り・立下りの見込み、附属品による欠除なし)で拾っておけば、数量の根拠を説明しやすくなります。

まとめ

  • 配管の拾い出しは、区分ごとに直線長さを測り、曲がり部は交点まで、立上り・立下りを加えて集計します
  • 公共建築設備数量積算基準は、附属品による欠除なし、保温は配管の長さ、支持金物は計測対象外などのルールを定めています
  • 順路の固定・消し込み・高さ方向の別集計・書式統一で、拾い漏れは減ります
  • 効率化はPDF計測、積算ソフト、AI自動拾いの3段階。どれでも最後の検収は人が行います

出典・参考

関連リンク

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

無料デモで確認する(オンライン30分)

2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。

あわせて読みたい関連記事