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ダクトの種類と規格|スパイラル・角ダクト・グラスウールダクトの使い分け

ダクトの種類と規格|スパイラル・角ダクト・グラスウールダクトの使い分け

ダクト選定は「空気の道路計画」

空調・換気の性能は、機器のカタログ数値ではなく、空気が実際に通るダクトで決まります。同じ機器でも、ダクトの選定と施工が悪ければ風量は出ず、騒音は増え、エネルギーは無駄になります。ダクトの種類と規格の知識は、板金工に任せる部分があるとしても、施工管理者と積算担当者が必ず持っておくべき土台です。

この記事では、現場で使う主要なダクトの種類と使い分け、規格と板厚の考え方、コスト・工期への影響までを整理します。

主要なダクトの種類

スパイラルダクト

帯状の鋼板をらせん状に巻いて成形した円形ダクトです。現在の空調・換気工事で最も使用量が多いダクトと言ってよく、既製品として各径が流通しています。

  • 長所: 既製品のため納期が早く安価。円形断面は強度が高く、同じ断面積なら角ダクトより圧力損失・漏気が少ない。継手(ニップル・エルボ等)も既製品で揃う
  • 短所: 円形のため天井懐の高さを食う。大風量では径が大きくなり、梁下との取り合いで負ける
  • 主な用途: 換気・排気系統全般、露出ダクトのデザイン利用、竪ダクト

接続は差込み継手にビス留め・シール処理が標準的で、フランジ式に比べて施工が速いのが工程上の強みです。

角ダクト(矩形ダクト)

亜鉛めっき鋼板を現場寸法に合わせて製作する矩形ダクトです。製作方法で大きく2つの工法に分かれます。

項目アングルフランジ工法共板フランジ工法
フランジ山形鋼を溶接して取り付けダクト本体の板を折り曲げて成形
強度高い標準的
重量・コスト重く高い軽く安い
接続ボルト・ナットで全周締めコーナーボルトと専用金具
使いどころ高圧・大型・厨房排気など一般空調の低圧ダクト全般

一般空調の低圧系統では共板工法が主流で、高い圧力がかかる系統・大断面・防火上の要求がある部位ではアングル工法が選ばれます。角ダクトの利点は、断面を自由に設計できることです。天井懐が浅い現場では、扁平な矩形断面にして高さを稼ぐ、という調整はスパイラルにはできません。

グラスウールダクト

グラスウールボードを成形したダクトで、断熱と消音の機能をダクト自体が持ちます。

  • 長所: 断熱工事が不要になり、吹出口近くの消音に効く。軽量で天井への負担が小さい
  • 短所: 強度が低く、高い圧力の系統や外部風圧には不向き。清掃性に難があり、厨房排気には使えない
  • 主な用途: 空調の低圧系統、音への要求が高い居室まわり

フレキシブルダクト

自在に曲げられる蛇腹状のダクトで、器具接続の最終区間に使います。断熱付き・アルミ製・不燃タイプなどがあります。便利な半面、長く使うと圧力損失が急増するため、あくまで末端の接続材として短く使うのが原則です。フレキを何メートルも引き回した現場は、ほぼ確実に風量不足を起こします。

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規格と板厚の考え方

角ダクトの板厚は、ダクトの長辺寸法が大きくなるほど厚くする、が基本原則です。あわせて、大断面のダクトには補強(リブ・タイロッド等)が必要になります。実務では公共建築工事標準仕様書や空調衛生工学会などの基準類に板厚・補強の規定があり、設計図書でどの基準に拠るかが指定されます。

現場で押さえるべきは次の3点です。

  • 設計図書が指定する基準類と圧力区分(低圧・高圧)を最初に確認する
  • 同じ系統でも、送風機に近い高圧側と末端では条件が違うことを意識する
  • 厨房排気・排煙など特殊系統は、板厚も工法も一般空調と別基準になる(排煙は特に法規要求が絡むため、設計図書と所轄の指導に従います)

使い分けの実務判断

種類の選定は、設計図で決まっている場合が多いものの、施工者側で提案・調整する場面は少なくありません。判断軸は次の4つです。

  1. 圧力と風量。高圧・大風量はアングル角ダクト、低圧はスパイラル・共板が基本線
  2. 納まり。天井懐が浅ければ扁平の角ダクト、竪シャフトや露出はスパイラルが有利
  3. 工期とコスト。既製品のスパイラルは製作リードタイムが短く、現場加工も速い。角ダクトは工場製作の日程を工程表に織り込む必要があります
  4. 機能要求。断熱・消音まで求めるならグラスウール、清掃性・耐油ならアングル角ダクトというように、系統の性質で決めます

改修工事では既存ダクトとの接続が発生するため、既存の工法・寸法の事前調査が選定の前提になります。現地調査で天井内を開けられるかどうかが、見積精度をそのまま左右します。

現場でよくある失敗例

ダクト工事の失敗は、種類の選定よりも段取りの詰め漏れから起こります。代表的なものを4つ挙げます。

  1. 製作寸法と現場実測の食い違い。図面寸法だけで工場製作にかけたところ、現場の梁下・他設備との干渉で納まらないケースです。特に改修工事では、製作発注前の現場実測を省略しないでください。作り直しは費用と工期の二重損失になります
  2. 搬入経路の確認漏れ。大きな角ダクトがエレベーターに入らない、階段を曲がれないという初歩的な失敗は、いまでも起こります。分割製作にすれば解決しますが、現場接続の手間が増えるため、搬入経路の確認は製作分割の設計とセットで行います
  3. ダンパーの点検口忘れ。防火ダンパー・風量調整ダンパーを設けたのに、天井に点検口がなく将来触れない、という失敗です。ダンパー位置が決まった時点で、点検口の位置を内装業者と調整しておきます
  4. 吊りボルトの逃げ忘れ。先行して施工された他設備の吊り位置とダクトルートが干渉し、現場でルート変更を強いられるケースです。天井内の取り合い調整会議にダクト施工図を持ち込み、ルートを先に押さえることが自衛になります

いずれも「起きてから対処」では高くつく失敗で、着工前の段取りで潰せるものばかりです。段取り事項を施工計画書に落とし込む方法は施工計画書の作成ガイドを参照してください。

積算・見積での注意点

ダクトの見積は、スパイラルは長さとサイズ、角ダクトは展開面積(平米)で拾うのが一般的です。ここで効いてくるのが拾い出しの精度で、継手・分岐・ダンパー類の拾い漏れは、そのまま利益の目減りになります。図面からの拾い出しを効率化する方法は配管長の拾い出しを効率化する方法で詳しく解説しています。

また、ダクト工事は板金工場の製作日程が工程を縛るため、見積段階で製作リードタイムを確認しておくと、受注後の工程協議で慌てません。

まとめ

  • スパイラルは速くて安い円形の主力、角ダクトは断面自由度、グラスウールは断熱・消音、フレキは末端接続専用。それぞれの土俵を外さないことが第一歩です
  • 板厚・補強は長辺寸法と圧力区分で決まります。設計図書の指定基準を最初に確認してください
  • 厨房排気・排煙は別世界です。一般空調の感覚で流用しないでください
  • 工期はダクト製作のリードタイムに縛られます。選定・発注の早さが工程の余裕になります

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