気密試験のやり方と時間・圧力|冷媒配管の窒素加圧と真空引き
公開日:最終更新日:
編集・発行:KMC株式会社
結論: 0.5MPa→1.5MPa→試験圧力の段階昇圧で、約一昼夜放置して判定
冷媒配管の気密試験は、窒素ガスで0.5MPa、1.5MPa、試験圧力の順に加圧し、各段階で5分以上保持して圧力が下がらないことを確かめ、試験圧力で接続部の発泡確認をしてから約一昼夜放置して判定します。日本冷凍空調設備工業連合会のガイドライン(JRC GL-01)とメーカーの冷媒配管工事説明書に共通する手順で、試験圧力は機器の設計圧力です。R32機・R410A機では4.15MPaを指定する説明書があります。
続く真空引きは、真空ゲージ(真空度を読む専用計器)で0.6kPa(5Torr)以下に達してから1時間以上運転し、止めて1時間放置しても圧力が上がらないことを確認します(JRC GL-01)。
数値は下の「出典・参考」の資料で確かめたものですが、試験圧力・時間は機種ごとに指定があります。現場では発注者の仕様書・機器メーカーの据付説明書・最新の規格で必ず確認してください。なお公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)も、冷媒管は気密試験を行い、その後に全系統の高真空蒸発脱水処理(真空にして水分を蒸発させて抜く処理)を行うこと、保温工事は気密試験完了後に行うことを定めています。
気密試験と耐圧試験の違い
「耐圧試験」と「気密試験」は混同されがちですが、目的が違います。
| 項目 | 耐圧試験 | 気密試験 |
|---|---|---|
| 確かめること | 圧力に耐える強度 | 漏れがないこと |
| 冷凍保安規則の圧力 | 配管以外の部分を許容圧力の1.5倍以上(液体)、液体が困難なら1.25倍以上(気体) | 許容圧力以上 |
| 公共建築工事標準仕様書 | 水配管・蒸気管等に規定(保持時間は冷媒管を除き最小30分) | 冷媒管はこちらを行う |
冷凍保安規則(高圧ガス保安法に基づく省令)第7条第1項第6号の定めです。耐圧試験は主に機器本体の強度確認で、現場で施工した冷媒配管に行うのは気密試験です。
気密試験のやり方
準備
- 試験ガスは窒素です。酸素・冷媒・可燃性ガスでの加圧は厳禁です(JRC GL-01)
- 室外機の操作弁は閉じたままにし、配管施工部以外に加圧しません
- 室内機側に膨張弁などの仕切りがある機種は、液管・ガス管の両方から加圧します(三菱重工サーマルシステムズ説明書)
- 試験圧力をかけたくない制御弁類は外し、通電で開く電磁弁は開状態にします(JRC GL-01)
- ろう付け直後の熱い配管に加圧すると、冷えたときに圧力が下がって誤判定のもとになります
- 圧力計は文字盤75mm以上、最高目盛は試験圧力の1.25倍以上2倍以下、原則2個以上(JRC GL-01)。三菱重工は精度1.6級以上も指定しています
段階昇圧の手順と保持時間
| 段階 | 圧力 | 保持時間 | 確認内容 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 0.5MPa | 5分以上 | 圧力低下なし(大きな漏れ) |
| 2回目 | 1.5MPa | 5分以上 | 圧力低下なし |
| 3回目 | 試験圧力 | 5分以上 | 圧力低下なし、発泡液で泡が出ない |
| 放置確認 | 試験圧力のまま | 約一昼夜 | 温度と圧力を記録し、補正後に低下なし |
(JRC GL-01 附属書C、三菱重工サーマルシステムズ 冷媒配管工事説明書。GL-01は一昼夜放置を「望ましい」、三菱重工は「約一昼夜放置し、低下していなければ合格」としています)
試験圧力は、三菱重工のR32機の説明書、三菱電機のR410A室外ユニット据付説明書(PUTV形)ともに4.15MPaです。調整器・ホース・ゲージもその圧力に対応したものを使います。段階を踏めば、低圧で見つかる大漏れを高圧まで上げる前に潰せるので、窒素も時間も節約できます。漏れが見つかったら、必ず大気圧まで下げてから修理し、加圧をやり直します(JRC GL-01)。
温度補正は式で計算する
気体の圧力は絶対温度に比例するため、加圧時と判定時の温度が違えば、漏れがなくても圧力は動きます。補正式は次のとおりです(JRC GL-01、三菱重工説明書)。
測定時の絶対圧力 = 加圧時の絶対圧力 × (273 + 測定時の温度)÷(273 + 加圧時の温度)
絶対圧力はゲージの読みに大気圧を足した値です。GL-01は目安として「1℃当たり約0.01MPa」も示していますが、試験圧力が高いほど1℃あたりの変動は大きくなるので、式で計算するのが確実です。
計算例(自社作成。大気圧を約0.1MPaとして計算):
| 条件 | 値 |
|---|---|
| 加圧時 | ゲージ圧4.15MPa(絶対圧4.25MPa)、25℃ |
| 判定時の温度 | 15℃ |
| 期待値(絶対圧) | 4.25 × 288 ÷ 298 = 約4.11MPa |
| 期待値(ゲージ圧) | 約4.01MPa |
判定時のゲージが約4.01MPaなら、約0.14MPaの低下は温度によるもので漏れではありません。期待値よりはっきり低ければ漏れを疑います。温度・圧力・計算を試験記録に残しておくと、監督員への説明も一度で済みます。
真空引きの手順
目的は「乾燥」
JRC GL-01は真空検査の目的を、微小な漏れの確認と同時に、内部の水分を真空で蒸発させて排除し乾燥させること、としています。気密試験に使った窒素もここで完全に排出します。「空気を抜くだけ」と考えると短縮したくなりますが、到達真空度と、その後の時間が品質を決めます。
到達真空度・運転時間・放置確認
| 資料 | 到達の目安 | 到達後の運転 | 放置確認 |
|---|---|---|---|
| JRC GL-01 | 0.6kPa(5Torr)以下 | 1時間以上 | 1時間放置で上昇なし |
| 三菱重工 冷媒配管工事説明書 | マイナス101kPa(5Torr) | 1時間以上 | 1時間以上放置で上昇なし |
| 三菱電機 PUTV形 据付説明書 | 650Pa(絶対圧) | 1時間以上 | 1時間放置。上昇幅130Pa超は水分混入を疑う |
- 操作弁が全閉であることを確認し、ゲージマニホールド・真空ポンプ・真空ゲージを接続します。液管・ガス管の両方から引くよう指定する機種もあります
- 真空度は真空ゲージで読みます。GL-01は、ゲージマニホールドの連成計では5Torr以下は読み取れないとしています。連成計の針が振り切れても真空の証明になりません
- 到達後も1時間以上運転を続けます
- バルブを閉じてからポンプを止め、放置して戻りを確認します。戻れば微小な漏れか水分残留です。漏れをなくして気密試験からやり直し、再度真空乾燥を行います
- 停止時のオイル逆流を防ぐため、逆流防止アダプタを使います
冷媒ガスで空気を押し出すエアパージは、冷媒の放出を伴うため禁止されています(三菱重工説明書)。
冬場・雨天後の注意
低温時は水の蒸発が遅く、同じ真空度でも乾燥に時間がかかります。GL-01も、真空引きの時間・方法は周囲温度などで異なるのでメーカーのマニュアルに従うよう求めています。水分混入が疑われるときは、三菱電機の説明書のように乾燥窒素を0.05MPaまで加圧してから再度真空引きする方法が指定されていることがあります。
失敗パターン別の切り分け
| 症状 | 疑うべき原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 加圧直後に下がる | 大きな漏れ、ホース接続の緩み | 大気圧に戻して修理し、第1段階から |
| 保持中に緩やかに低下 | 温度低下、微少漏れ | 補正式で再判定、補正後も低下なら探知 |
| 真空度が上がらない | ポンプ能力不足、オイル劣化、大漏れ | ポンプ単体の到達度で切り分け |
| 真空放置で戻る | 水分残留、微少漏れ | 気密を再確認し、乾燥窒素で破壊して再真空 |
| 発泡確認で泡が出る | フレア不良、ろう付けピンホール | 増し締めでなく再加工 |
フレアの漏れを増し締めで止めようとすると、規定トルク超えでフレア割れを招きます。ろう付け部の漏れも、GL-01は接続部を外し、汚れを除去・洗浄して再施工するよう定めています。
気密試験・真空引きの判定チェックリスト(自社作成)
- 試験ガスは窒素か
- 圧力計は文字盤75mm以上、最高目盛が試験圧力の1.25〜2倍、2個以上か
- 仕切りのある機種は液管・ガス管の両方に加圧したか
- 0.5MPa、1.5MPa、試験圧力の各段階で5分以上保持したか。試験圧力は据付説明書の値か
- 全接続部を発泡確認し、確認後に拭き取ったか
- 加圧時と判定時の温度・圧力を記録し、補正式で判定したか
- 真空度は真空ゲージで読み、到達後1時間以上運転、放置確認をしたか
- 保温・隠蔽は試験完了後か
工程と記録の段取り
放置確認に約一昼夜、真空引きにも運転と放置の時間が要ります。これを工程表に載せていない現場は、ボード工程に追われて試験を短縮する誘惑と戦うことになります。
- 「配管完了」と「断熱・隠蔽開始」の間に試験日程を線で入れる
- 系統ごとに区切って試験し、1カ所の漏れで全体を止めない
- 加圧は前日夕方、判定は翌朝の同じ温度帯にして補正の誤差を減らす
- 仮設電源の時期は、ポンプの連続運転時間を確保できるか先に確認する
記録には、試験区間・機材・試験圧力・日時、加圧時と判定時の温度と補正後の判定値、到達真空度・運転時間・放置後の戻り、立会者と発泡確認の範囲を残します。施工計画書への盛り込み方は空調設備工事の施工計画書 作成ガイドを参考にしてください。
まとめ
- 気密試験は窒素で0.5MPa、1.5MPa、試験圧力と段階昇圧し、各5分以上保持、発泡確認と約一昼夜の放置確認を行います
- 耐圧試験は強度、気密試験は漏れの確認。現場の冷媒配管で行うのは気密試験です
- 温度補正は目安値でなく補正式で計算すると確実です
- 真空引きは真空ゲージで0.6kPa(5Torr)以下を確認し、1時間以上の運転と放置確認までがワンセットです
出典・参考
- 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(国土交通省) … 2.4.6 冷媒配管、2.9.2 試験
- 冷凍保安規則(e-Gov法令検索) … 第7条第1項第6号
- JRC GL-01:2024 業務用冷凍空調機器フルオロカーボン漏えい点検・修理ガイドライン(日本冷凍空調設備工業連合会) … 附属書C
- 冷媒配管工事説明書 PSC012D007B(三菱重工サーマルシステムズ)(メーカー公表資料)
- PUTV形 室外ユニット据付説明書(三菱電機)(メーカー公表資料)
関連リンク
いまの課題に近いものはどれですか?
選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。
2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。



