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冷媒配管の断熱施工|結露を防ぐ保温材の選び方と巻き方

冷媒配管の断熱施工|結露を防ぐ保温材の選び方と巻き方

断熱の失敗は「最初の夏」に天井へ現れる

冷媒配管の断熱は、配管工事の中で最も軽く扱われがちな工程です。管を通し、ロウ付けを終え、試験も合格した後の「仕上げ」に見えるからです。ところが引き渡し後のクレームで見ると、断熱不良による結露は水漏れ事故の主要因のひとつであり、発生時期はたいてい最初の冷房シーズンです。

冷房運転中のガス管(吸入管)は低温になり、表面温度は夏場の天井内の露点を大きく下回ります。断熱に隙間が一点でもあれば、そこは連続的に結露する冷却面になり、水滴は保温材を伝い、天井ボードに輪ジミを作ります。厄介なのは、結露の発生点とシミの出現点が離れることです。原因調査で天井を何カ所も開けることになり、補修費用と信用の両方を失います。

断熱は仕上げではなく、防水工事だと捉えてください。この記事では、材料の選び方と、弱点になりやすい部位の施工実務を整理します。

なぜ液管にも断熱が必要か

「冷たくなるのはガス管だから、液管は裸でよいのでは」という疑問は現場でよく聞きます。答えは、液管にも断熱は必要です。

  • 冷房時の液管は外気より低温になり、条件によっては結露します
  • 液管が天井内や屋外で熱を拾うと、冷媒が過熱されて冷凍サイクルの効率が落ち、能力低下と電気代増につながります
  • 暖房時には高温になるため、接触時のやけどや周囲材料への熱影響の面でも被覆が要ります

メーカーの据付説明書でも液管・ガス管それぞれの断熱が前提になっています。ペア(2本組)の断熱付き銅管を使う場合も、現場で加工した部分の処理品質はこの記事の内容がそのまま当てはまります。

保温材の選び方: 厚さは「使用条件」で決まる

冷媒配管の断熱には、一般にポリエチレンフォームやゴム系(エラストマー)の発泡断熱材を使います。選定の考え方は次のとおりです。

判断軸考え方
厚さ管径・冷媒温度・周囲の温湿度条件で決まる。高温多湿環境(厨房上部・最上階天井内など)は厚めの仕様が必要
材質一般部はポリエチレンフォームが標準的。高い断熱性・柔軟性が要る部位はゴム系も選択肢
耐候性屋外は紫外線で劣化するため、外装(テープ・ラッキング)とセットで考える
防火性区画貫通部は建物の防火要件に適合する処理が必要

大事なのは、厚さの根拠を設計図書・機器の据付説明書・保温材メーカーの選定表で確認することです。「いつもこの厚さだから」で決めた仕様が、条件の厳しい建物で結露する例は珍しくありません。特に、天井内に外気が流入する建物(屋根裏に近い最上階、換気バランスの悪い建物)は、周囲露点が想定より高くなる典型条件です。

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施工の実務: 結露は「弱点部」で起こる

まっすぐな配管の断熱で失敗する職人はいません。結露事故は、ほぼすべて次の弱点部で起こります。

継ぎ目とテープ処理

保温材同士の突き合わせ部は、隙間なく密着させ、専用テープで巻き上げます。テープは引っ張りすぎないことが重要で、強く引くとテープが後日縮んで剥がれ、そこが結露点になります。半分重ねのらせん巻きを丁寧に行い、テープの端部は必ず巻き終わりを下向きにしない位置で処理します。

ロウ付け部・フレア部

接続部は試験が終わるまで断熱できないため、後から部分施工になります。ここが最大の弱点です。成形カバーや現場加工の保温材で、前後の断熱材と段差なく連続させ、隙間はコーキングやテープで確実に塞ぎます。「試験後の後巻き」を工程として明確に残し、閉じ込み前の確認項目にしてください。

支持部・吊りバンド

吊りバンドで保温材の上から締めると、断熱材がつぶれて性能が落ち、へこみ部が結露します。支持部には保護プレートや支持用の硬質インサートを入れ、断熱の連続性を保ったまま荷重を受けます。バンドと管が直接触れる納まりは、熱橋になって結露するため避けます。

貫通部・曲がり

壁・梁の貫通部は作業スペースが取れず、断熱が途切れやすい場所です。貫通前に断熱を仕上げてから通す、通してから確実に後処理する、のどちらで施工するかを段取りの段階で決めておきます。エルボ部は既製の成形カバーを使うか、切り込み加工で隙間なく仕上げます。

屋外配管の外装

屋外の冷媒配管は、断熱材のままでは紫外線と風雨で数年のうちにボロボロになります。外装の選択肢は、耐候性テープ巻き、樹脂製の配管カバー(ダクト形カバー)、金属ラッキングの3段階です。

  • テープ巻きは安価ですが、巻き方向と重ね幅が悪いと雨水を呼び込みます。下から上へ、水が入らない重ね方向で巻くのが原則です
  • 美観と耐久性が求められる場所(店舗外壁・住宅街のビル)は配管カバーが標準的です
  • 屋上で人が触れる場所や長期耐久を求める場合は金属ラッキングを検討します

外装の劣化は放置されがちですが、断熱材が雨水を含むと断熱性能は失われ、結露と管の腐食が進みます。保守点検の巡回時に外装の状態を確認項目に入れておくと、更新提案の種にもなります。点検メニューの組み立ては業務用エアコンの保守メンテナンス項目を参考にしてください。

改修現場では「既設断熱の見極め」も仕事のうち

更新工事・改修工事では、既設の冷媒配管を再利用する場面で、既設断熱の評価が必要になります。見るべきは次の3点です。

  • 断熱材の劣化。押すと崩れる、硬化して割れている、テープが剥がれている状態は、部分補修でなく巻き直しを見積に入れます
  • 水濡れの痕跡。断熱材が湿っている・シミがある場合、過去の結露か漏水があった証拠です。原因(断熱不良か配管勾配か外部からの水か)を特定せずに新しい機器をつなぐと、同じ事故を新品の機器で再演することになります
  • アスベスト含有の可能性。古い建物の配管保温材には石綿含有の可能性があり、改修時は事前調査の対象になります。疑わしい保温材を安易に剥がさず、調査手順に乗せてください

実際にあった失敗として、ある会社(F社)は機器更新の際に既設断熱を「見た目がきれいだから」とそのまま使い、最初の夏に天井シミを出しました。原因は、以前のテナント工事で断熱の一部が切り欠かれたまま塞がれていたことです。既設流用の判断は、目視できる範囲の点検口を開けて確認し、確認できない区間の扱いを見積条件に書く。この一手間が、他人の施工不良を自分のクレームにしない防波堤になります。

検査と記録: 閉じ込み前の最後の目

断熱は隠蔽されると二度と確認できません。天井を閉じる前に、次を確認・記録します。

  • 継ぎ目・接続部の後巻き・支持部・貫通部の4種類の弱点部を重点的に目視確認する
  • ドレン配管の断熱(露付き対策)も同時に確認する。ドレン配管の施工ポイントで述べたとおり、ドレン自体も結露源です
  • 弱点部の写真を系統ごとに残す。撮影と整理は電子黒板アプリを使うと、隠蔽部記録の抜けを防げます

まとめ

  • 断熱は防水工事です。失敗は最初の夏に、発生点から離れた天井のシミとして現れます
  • 液管にも断熱は必要です。厚さは慣習でなく、条件と選定表で決めてください
  • 事故はまっすぐな部分では起きません。継ぎ目・後巻き部・支持部・貫通部の4大弱点部に施工と検査を集中させます
  • 屋外は外装までが断熱工事です。閉じ込み前の確認と写真記録を工程に組み込んでください

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