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フレア加工の失敗例と正しいやり方|寸法・トルクで漏れを防ぐ

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フレア加工の失敗例と正しいやり方|寸法・トルクで漏れを防ぐ

結論: 失敗の多くは「キズ・切粉・段差・扁平・寸法不足」

フレア加工(銅管の端をラッパ状に広げ、フレアナットで締めて接続する加工)の失敗例は、コーンの位置不良やゴミによるキズ(スジ)、リーマ・やすりの切粉の付着、バリ取り不足による段差、曲がった管による扁平、加工後の衝撃による変形、寸法不足が代表です。三菱重工サーマルシステムズの冷媒配管工事説明書は、これらを「フレア加工の不具合例」として写真つきで示しています。

正しいやり方は、パイプカッターで直角に切断し、管を下向きにしてバリを取り、指定の頭出し寸法でフレア加工し、寸法と外観を確認してから、トルクレンチで規定トルクで締めることです。寸法・トルクは冷媒と機種で違うので、発注者の仕様書・機器メーカーの据付説明書で必ず確認してください。

フレア加工のやり方: 切断からトルク締めまで

以下は三菱重工サーマルシステムズの説明書の作業手順を軸に整理したものです。

1. 管の準備と切断

  • フレア加工する銅管はO材・OL材(焼きなました軟らかい銅管)を使います。R32で外径19.05mmをO材で使う場合は肉厚1.2mmが必要とされています
  • 傷がなく、経時硬化していない管を使います
  • 長さに余裕を持たせ、パイプカッターで管軸に直角に切断します。刃を一気に締め込むと管が変形し、後のフレアが偏ります

2. バリ取りと銅くずの除去

リーマーで内バリを取るとき、切粉が管内に入らないよう管を下向きにします。管内の銅くずは、ドライバーの柄などで軽くたたくか、ガーゼ棒で除去します。バリ取り不足は段差の原因、取り過ぎは管端が薄くなる原因です。

3. フレア加工

フレアナットを先に挿入してから、フレアダイス面から管先端までを指定の寸法(頭出し寸法)にセットし、内面にキズがないよう真円で均一に加工します。

R32用フレアに加工するときの工具頭出し寸法
R32用フレアツール(クラッチ式)0〜0.5mm
従来のフレアツール0.7〜1.3mm

(三菱重工サーマルシステムズ 冷媒配管工事説明書 表3。同じR32用フレアでも、使う工具で頭出し寸法が変わります)

R32・R410Aは従来冷媒より圧力が高く、フレア加工寸法とフレアナットの対辺寸法が変更されています(三菱重工・三菱電機の資料)。専用工具を使い、旧冷媒の工具を流用しないでください。

4. 寸法と外観の確認

加工後、フレア外径を確認し、キズ・段差・扁平がないかを1カ所ずつ見ます。

配管径(mm)フレア外径(mm)
6.358.9〜9.1
9.5212.8〜13.2
12.716.2〜16.6
15.8819.3〜19.7

(三菱重工サーマルシステムズ 冷媒配管工事説明書 表3。R32用)

5. 接続とトルク締め

フレア面とネジ部にゴミがないことを確認し、ナットを手で掛けて軽く回ることを確かめてから、ダブルスパナ(片側を固定するスパナとトルクレンチ)で規定トルクで締めます。締め不足は漏れ、締め過ぎはフレア部の破損による漏れにつながります。

冷凍機油の塗り方はメーカーで指定が違います。三菱重工の説明書は、ねじ部やフレア外面に油を塗ると同じトルクでも軸方向の力が増え、フレアの応力腐食割れの原因になることがあるため、塗る場合はフレア内面のみとしています。三菱電機の据付説明書は、フレア接続面にエステル油・エーテル油または少量のアルキルベンゼンを塗るよう指定し、鉱油の多量混入を禁じています。

締付トルクはメーカーで違う

同じ配管径でも、規定トルクはメーカー・機種で差があります。

配管径(mm)三菱重工サーマルシステムズ(N・m)三菱電機 PUTV形(N・m)
6.3514〜18記載なし
9.5234〜4235〜42
12.749〜6150〜57.5
15.8868〜8275〜80
19.05100〜120100〜140

(三菱重工: 冷媒配管工事説明書 表2。三菱電機: PUTV形 室外ユニット据付説明書)

たとえば12.7mmでは、三菱重工の範囲の上限61N・mは三菱電機の上限57.5N・mを超えます。「前の現場の数字」で締めず、必ず接続する機器の据付説明書の値を使ってください。一覧を工具箱に貼るなら、機種ごとに作るのが安全です。

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フレア加工の失敗例と原因

失敗例見た目・症状主な原因
キズ・スジフレア内面の筋・キズコーンの位置不良、コーンに付着したゴミ
切粉の付着面に銅粉が残るリーマ・やすりがけの切粉
段差内面の縁に段がつくバリ取り不足
扁平フレアが楕円になる曲がったパイプの使用
変形縁がつぶれる・ゆがむ加工後の衝撃
寸法不足ナット座面への掛かりが浅い頭出し寸法の誤り、冷媒に合わない工具
偏心フレアが片側に寄る切断面の直角不良、クランプの締め不足
割れ縁の微細なひびバリの取り過ぎ、締め過ぎ、硬化した管

(キズ〜変形は三菱重工サーマルシステムズ説明書の図Dの不具合例。寸法不足以下は手順上の注意から自社で整理)

不良を見つけたら、切り落として再加工が原則です。「少し強めに締めて様子を見る」は、その場の数分を節約して後の漏れを招く取引です。

フレア加工の自己点検シート(自社作成)

加工のたびに、次の順で確認します。

No.確認項目判定
1O材・OL材で、傷・硬化のない管か可・否
2冷媒に合った専用工具か可・否
3直角に切断したか可・否
4管を下向きにしてバリ取りし、銅くずを除去したか可・否
5フレアナットを先に通したか可・否
6頭出し寸法は説明書の値か可・否
7フレア外径が説明書の範囲か可・否
8キズ・スジ・段差・扁平・変形がないか可・否
9冷凍機油の種類と塗る位置は説明書どおりか可・否
10トルクレンチで、接続機器の規定トルクで締めたか可・否

再施工・増し締めの落とし穴

  • 既設配管を再利用する場合も、三菱重工の説明書はフレアナットを流用せずユニット付属品を使い、新しくフレア加工するよう求めています
  • 漏れ疑いのフレアを増し締めするときも、規定トルクを超えて締めないこと。止まらないものは再加工です。増し締めを繰り返した先にあるのはフレア割れです
  • 既設配管は、肉厚・設置年数・過去の腐食漏れ・気密・腐食や傷・断熱材の劣化を確認し、不良なら新規配管にします(三菱重工説明書)

新人がフレアを習得するための練習手順

  1. 端材で数をこなす。切断・バリ取り・頭出し・成形の一連を体に入れます。この段階では速さを求めません
  2. 自己判定させる。作ったフレアを失敗例の表と照らして合否判定し、先輩が答え合わせします。「作れる」と「良否が分かる」は別の能力です
  3. 実管接続と気密確認。端材の配管で実際に接続し、窒素加圧と発泡確認まで通しで行います
  4. 現場デビューは露出部・点検可能な箇所から。隠蔽部は習熟後にします

品質を仕組みで守る

  • 工具の管理。フレアツールのコーン・クランプの汚れや傷は、全員のフレアに同じキズを付けます。定期的に点検します
  • 手動と電動の使い分け。電動フレアツールは仕上がりが安定しますが、新人教育では手動で頭出し寸法の感覚を先に身につけさせるのが定石です
  • 機種別のトルク一覧の携行と、トルクレンチの校正確認
  • 接続部の位置。公共建築工事標準仕様書は冷媒管の継手を保守点検できる位置に設けるとしており、三菱重工の説明書も天井内の接続部には点検口を設けるよう求めています
  • 重要現場では接続部リストを作り、合いマーク(締付確認の印)と気密試験での発泡確認を全数実施します

手順は施工計画書・作業手順書に落とし込むと、元請や発注者への品質説明にも使えます。書き方は空調設備工事の施工計画書 作成ガイドを、仕上げの気密試験・真空引きはこちらの記事を参考にしてください。

現場条件がフレアの敵になる日

  • 雨天・粉じんの多い現場。三菱重工の説明書は、配管は接続直前までキャップ等で密栓し、水分・ゴミ・切粉が入らないようにするよう求めています
  • 高所・狭所での接続。無理な姿勢はトルクレンチを正しく使えない原因です。姿勢が取れない位置に接続部を作らないことが、配管ルート設計段階の対策です
  • 急かされる状況。確認を省略するかどうかは、個人の意思ではなく、確認を手順化しているかどうかで決まります

まとめ

  • フレアの失敗例は、キズ・スジ、切粉、段差、扁平、変形、寸法不足。原因と対で覚えます
  • やり方は、直角切断、下向きのバリ取り、頭出し寸法、寸法と外観の確認、トルクレンチでの規定トルク
  • 締付トルクと冷凍機油の塗り方はメーカーで違います。接続する機器の説明書の値を使います
  • 不良フレアは再加工の一択。増し締めでの延命はしないこと

出典・参考

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