空調業務改善Navi
技術・施工約13分で読めます

ダクト施工の基本|ハゼ組み・フランジ接続・吊り込みの手順

ダクト施工の基本|ハゼ組み・フランジ接続・吊り込みの手順

ダクト施工は「段取り7割・取付3割」

ダクト工事の現場を数多く見ると、施工が上手い班と遅い班の差は、取付作業の速さではなく段取りにあります。工場製作のダクトが現場に届いてから考え始める班は、搬入経路で詰まり、他業種と干渉し、手待ちと手戻りで日程を溶かします。逆に、墨出しと吊りボルトが先行し、搬入順序が組まれている現場は、取付そのものは淡々と進みます。

この記事では、角ダクト・スパイラルダクトの施工手順を工程順に追いながら、現場管理者が押さえるべき品質と段取りの勘所を整理します。ダクトの種類・工法の選定はダクトの種類と規格を先にご覧ください。

工程1: 施工図と取り合い調整

ダクト施工の成否は、施工図の段階でほぼ決まります。

  • 天井内の他設備(電気ラック・給排水管・冷媒配管・消火配管)との上下関係を、総合図・取り合い調整会議で先に確定させます。ダクトは断面が大きく、後から逃げられない設備です。「大物から先に決める」の原則どおり、ダクトルートは早い段階で主張して押さえます
  • 梁貫通・防火区画の貫通位置は、構造・防火の制約で動かせません。スリーブの手配と防火ダンパーの位置をこの段階で固めます
  • 製作図は現場実測と突き合わせます。図面寸法だけで製作にかけて現場で合わない失敗は、改修現場では特に頻発します
  • 板金工場の製作リードタイムを工程の起点に置きます。ダクト工事の遅れの多くは取付でなく製作待ちで生まれます。承認図の戻りが遅れれば製作も遅れる、という連鎖を意識し、承認・発注の期限を工程表に明記してください

工程2: 墨出し・吊りボルト・インサート

  • 基準墨からダクトの芯とレベルを出し、吊りボルトの位置を墨出しします。勾配は不要ですが、レベルの通りが悪いと接続部に無理な力がかかります
  • 新築ではスラブ打設前のインサート先付けが基本です。後施工アンカーになる場合は、躯体条件と許容荷重を確認します
  • 吊りボルトのピッチはダクトの寸法・重量に応じて決めます。大きな横引きダクトでは、ダクト寸法に応じた振れ止め(斜め材)も計画します。地震時のダクト落下は重大事故につながるため、耐震支持の要否を設計図書で確認してください

工程3: 接続の実務

角ダクトのフランジ接続

共板フランジ工法では、コーナー金具のボルト締めとフランジ間のガスケット、周囲のクリップ(ラッツ)留めで接続します。押さえどころは次のとおりです。

  • ガスケットは切れ目なく、コーナー部で確実に重ねます。漏気の大半はコーナーから起こります
  • クリップの数量・間隔は工法の基準どおりに。「足りない分は現場判断で間引く」が漏気と強度不足の温床です
  • アングルフランジ工法では、ボルトの締め忘れ防止に対角順の締め付けとマーキングを習慣化します

スパイラルダクトの差込み接続

継手(ニップル)にシール材を塗布して差し込み、ビスで固定したうえでダクト用テープを二重巻きするのが標準的な納まりです。ビスの本数は管径に応じて確保し、テープは下巻きの密着を確認してから仕上げ巻きをします。寒い時期はテープの粘着が落ちるため、貼り付け面の清掃と押さえ込みを丁寧に行います。

たわみ継手(キャンバス)

送風機・空調機との接続部には、振動を絶縁するたわみ継手を設けます。ここで機器とダクトの芯がずれていると、キャンバスが突っ張って防振の意味を失います。機器据付の精度とダクト側の芯合わせは、接続前に確認してください。

ツナギー

案件の状況、担当者に聞かないと分からなくなっていませんか?

案件情報・進捗・書類をクラウドで一元管理。ツナギー の活用例をまとめました。

工程4: 吊り込みの安全と品質

  • 大きなダクトの揚重は、人力の限界を見誤らないことが第一です。荷重に応じてチェーンブロック・リフターを使い、吊り上げ中の下に人を入れない動線を仕切ります
  • 高所作業車・脚立足場の使い分けと、開口部近くでの作業の墜落対策は、朝礼・KYで具体的に指示します(天井内作業の安全は天井内・高所作業の安全対策で詳述します)
  • 吊り込み後、フランジの締結・クリップ・ビス・テープの状態を系統ごとに確認し、写真で記録します。ダクトは断熱・天井で隠れるため、記録の価値は配管と同じです(隠蔽部の施工写真管理

工程5: 施工後の確認

  • ダンパー類の動作確認。風量調整ダンパーの開度、防火ダンパーの作動と点検口からのアクセスを、天井が閉じる前に確認します
  • 漏気の確認。要求のある系統は漏気試験を実施し、一般系統でも運転時の風切り音・漏れ音の確認を行います
  • 系統の照合。施工図どおりの系統・風量バランスになっているか、吹出口・吸込口の位置と数を図面と照合します。試運転時の風量測定・調整(TAB)につながる下準備です

改修現場のダクト施工は別の難しさがある

新築の手順を押さえたうえで、改修現場には固有の難所があります。

  • 既設ダクトの調査が最初の仕事。天井点検口から既設のルート・寸法・接続工法・保温状態を実測し、図面(あれば竣工図)との食い違いを前提に計画します。竣工図どおりの天井内は、改修現場ではむしろ少数派です
  • 稼働中系統の仮切り回し。営業中の建物では、換気・空調を止められる時間が限られます。系統の切替順序と仮設ダクト・仮閉鎖の計画を、建物側と合意してから着工します
  • 既存保温材の石綿リスク。古い建物のダクト保温・パッキン類には石綿含有の可能性があります。疑わしい材料は勝手に撤去せず、事前調査の手順に乗せてください
  • 粉じん・臭気の養生。既設ダクトの切断・撤去は、堆積したほこりが室内に落ちる作業です。養生と清掃をセットで計画しないと、工事品質とは別の所でクレームになります
  • 廃材の搬出計画。撤去ダクトはかさばります。搬出経路・仮置き場・処分の段取りを見積段階から織り込みます

改修のダクト工事は、施工技術より「調査と調整の仕事」の比重が大きくなります。見積前の現地調査にどれだけ時間を掛けられるかが、そのまま利益率に響きます。

現場管理者のチェック観点

ダクト工事を外注(板金業者)に出す場合でも、管理者として見るべき観点は変わりません。

場面確認すること
製作発注前現場実測との照合、分割搬入の要否、内寸か外寸か
搬入時搬入経路・保管場所、つぶれ・変形の有無
取付中吊りピッチ・振れ止め、コーナーガスケット、貫通部処理
閉じ込み前ダンパー動作と点検口、写真記録、漏気の兆候

とくに「内寸か外寸か」の行き違いは、内貼りダクトや保温の厚みが絡むと致命傷になります。発注時の一言確認を癖にしてください。また、これらの確認観点は外注管理のチェックリストとしてそのまま使えます。口頭の指示は流れますが、観点表を渡して一緒に確認する運用にすれば、板金業者との品質のすり合わせが継続的に楽になります。

まとめ

  • ダクト施工の実力は段取りに出ます。施工図と取り合い調整で大物の位置を先に押さえてください
  • 接続部の品質はコーナーガスケット・クリップ数・テープの下巻きという地味な部分で決まります
  • 吊りピッチ・振れ止め・耐震支持は、落下という最悪の事故に直結する項目です。基準どおりを譲らないでください
  • 閉じ込み前のダンパー確認と写真記録までがダクト工事です

関連リンク

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

無料デモで確認する(オンライン30分)

2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。

あわせて読みたい関連記事