ダクト施工の基本|フランジ接続・クリップ間隔・吊り間隔
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編集・発行:KMC株式会社
ダクト施工の基本は、工法ごとに決められた接続方法と吊り間隔を守ることです。国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、スパイラルダクトの接合は差込み継手接合またはフランジ継手接合とし、吊り間隔はスパイラルダクトで4,000mm以下、共板フランジ工法の角ダクトで2,000mm以下などと定めています。共板フランジのクリップ(フランジ押さえ金具)は、標準図でダクト端部から150mm以内、金具どうしの間隔200mm以内とされています。
この記事では、これらの数値を早見表にまとめたうえで、施工図から閉じ込み前の確認まで、現場管理者が押さえるべき勘所を工程順に整理します。ダクトの種類・工法の選定はダクトの種類と規格を先にご覧ください。
早見表:接続と吊りの基準(公共仕様書・標準図)
吊り間隔(横走りダクト)
| ダクトの種類・工法 | 吊り間隔 | 根拠 |
|---|---|---|
| アングルフランジ工法の角ダクト | 3,640mm以下 | 第3編2.2.2.2 |
| スライドオンフランジ工法の角ダクト | 3,000mm以下 | 第3編2.2.2.3 |
| 共板フランジ工法の角ダクト | 2,000mm以下 | 第3編2.2.2.3 |
| スパイラルダクト | 4,000mm以下 | 第3編2.2.2.4 |
| 円形ダクト | 3,640mm以下 | 第3編2.2.2.4 |
| グラスウール製ダクト(円形) | 内径300mm以下は2,400mm、300mmを超えるものは2,000mm(最大間隔) | 第3編表3.2.5 |
コーナーボルト工法については、機械室内で長辺450mm以下の横走りダクトの吊り間隔を2,000mm以下とする規定もあります(第3編2.2.2.3)。吊り用ボルトは、角ダクト・スパイラルダクトとも表の範囲でM10または呼び径9です(第3編表3.2.2・表3.2.3。角ダクトで周長3,000mmを超える場合、スパイラルで呼称寸法1,000を超える場合は強度を確認のうえ選定)。
振れ止め支持
| 対象 | 基準(第3編2.2.2.1) |
|---|---|
| 横走りダクト | 12m以下ごとに形鋼振れ止め支持。横走りダクトの末端部にも形鋼振れ止め支持 |
| 上記を省略できる場合 | ダクトの周長が1,000mm以内、または吊り用ボルトの長さが平均200mm以内 |
| 壁貫通等 | 形鋼振れ止めと同等に振れを防止できる場合は、貫通部と吊りで振れ止め支持とみなしてよい |
| 立てダクト | 各階1箇所以上に振れ止め支持(固定) |
| 振動の伝わりを防ぐ必要がある場合 | 防振材を介して吊り・支持 |
スパイラルダクトの接続
| 項目 | 差込み継手接合 | フランジ継手接合 |
|---|---|---|
| 差込み長さ | 継手の差込み長さ60mm以上(表3.1.27) | フランジ用カラーの差込み長さ100mm以上 |
| 固定 | 鋼製ビスで周囲を固定。片側の最小本数は内径155mm以下で3本、155を超え355以下で4本、355を超え560以下で6本、560を超え800以下で8本、800を超え1,250以下で12本(表3.2.4) | 山形鋼フランジを接合用ボルト(最小呼び径M8、最大間隔100mm)で接合(表3.1.28) |
| シール | 継手と直管の継目全周にシール材を塗布し、ダクト用テープで二重巻き(2.2.3.2) | カラーとダクトの接合部は差込み継手と同じ(2.2.3.2) |
| その他 | - | フランジの最大間隔4,000mm。カラーのつば部外径は差込部外径より15mm以上大きく、板厚は接続するダクトより1番手厚いもの(1.14.4.2) |
共板フランジ・スライドオンフランジの押さえ金具(クリップ)
| 工法 | 基準 |
|---|---|
| 共板フランジ工法 | ダクト端部から押さえ金具まで150mm以内、押さえ金具どうしの間隔200mm以内(標準図)。押さえ金具の長さ150mm以上、再使用禁止(仕様書第3編1.14.3.6) |
| スライドオンフランジ工法 | 押さえ金具の個数は、フランジ辺の長さが450mm以下で0個、450を超え750以下で1個(辺の中央)、750を超え1,500以下で2個(均等)(標準図)。押さえ金具の厚さ4.0mm以上(仕様書第3編1.14.3.6) |
(出典:公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版 第3編1.14・2.2、公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版「コーナーボルト工法ダクトのフランジ施工例(三)」)
設計図書に特記があればそちらが優先します。民間工事では、設計図書がどの基準に拠るかを最初に確認し、指定がなければ発注者の仕様書・最新の規格で確認してください。
工程1:施工図と取り合い調整
- 天井内の他設備(電気ラック・給排水管・冷媒配管・消火配管)との上下関係を、総合図・取り合い調整会議で先に確定させます。ダクトは断面が大きく、後から逃げられない設備です
- 梁貫通・防火区画の貫通位置は、構造・防火の制約で動かせません。スリーブの手配と防火ダンパーの位置をこの段階で固めます
- 製作図は現場実測と突き合わせます。改修現場では特に、図面寸法だけで製作して合わない失敗が起こりがちです
- 板金工場の製作期間を工程の起点に置きます。承認図の戻りが遅れれば製作も遅れるので、承認・発注の期限を工程表に明記します
工程2:墨出し・吊りボルト・インサート
- 基準墨からダクトの芯とレベルを出し、吊りボルトの位置を墨出しします。レベルの通りが悪いと接続部に無理な力がかかります
- 新築ではスラブ打設前のインサート先付けが基本です。後施工アンカーになる場合は、躯体条件と許容荷重を確認します
- 吊り間隔は上の早見表のとおり工法で変わります。吊り金物の山形鋼の長さは、保温も含めたダクトの横幅以上とします(第3編2.2.2.1)
- 振れ止めの位置(12m以下ごと・末端・立てダクトの各階)も墨出しの段階で決めておきます。地震時の揺れ・落下を防ぐための支持です。耐震支持の考え方は空調設備の耐震施工を参照してください
工程3:接続の実務
角ダクト:共板フランジ工法
共板フランジ工法は、ダクト本体の板を成形してフランジにし、四隅のコーナー金具をボルト・ナットで締め、辺の部分を専用の押さえ金具(クリップ等)で留める工法です(標準図)。フランジ間にはガスケットを入れます。
- クリップの間隔は端部150mm以内・金具間200mm以内。現場判断で間引くと、漏気と強度不足の原因になります
- 押さえ金具は再使用しません
- 四隅はNシール(接合部の折り返し四隅のシール)の対象です。シールの種類はダクトの漏れ(漏気)対策にまとめています
角ダクト:アングルフランジ工法
山形鋼のフランジをボルト・ナットで接合します。接合後にフランジ幅と同一となるフランジ用ガスケットを使い、片締めのないよう気密に締め付けます(第3編2.2.1)。接合用ボルトは最小M8・最大間隔100mmです(第3編表3.1.16)。締め忘れ防止に、対角順の締め付けとマーキングを習慣にします。
スパイラルダクトのフランジ継手の施工方法
大口径や、分解・点検が必要な箇所ではフランジ継手接合を使います。
- ダクト端部にフランジ用カラーを差し込み(差込み長さ100mm以上)、差込み継手と同じ要領で鋼製ビス固定・継目全周のシール・ダクト用テープ二重巻きを行う
- 相手側も同様にカラーを取り付ける
- フランジ面を合わせ、接合用ボルト(最小呼び径M8、最大間隔100mm)で片締めのないよう締め付ける。ガスケットの仕様は設計図書・製作者の要領で確認する
- フランジの間隔は4,000mm以下に収める
スパイラルダクトの差込み継手
継手を直管に差し込み(差込み長さ60mm以上)、鋼製ビスで周囲を固定し、継手と直管の継目全周にシール材を塗布した後、ダクト用テープで二重巻きにします(第3編2.2.3.2)。ビス本数は内径で決まります(早見表)。テープは貼る面の清掃と押さえ込みを丁寧に行います。
たわみ継手(キャンバス)
送風機とダクトの接続にはたわみ継手を使います(第3編2.1.18.1)。機器とダクトの芯がずれているとキャンバスが突っ張り、振動を絶縁する役目を果たせません。接続前に芯合わせを確認します。
フレキシブルダクト
フレキシブルダクトは、吹出口・吸込口ボックスの接続用として1.5m以下で使ってよいとされ、湾曲部の内側半径はダクト半径以上とし、有効断面を損なわないように取り付けます(第3編2.2.5.3)。
工程4:吊り込みの安全と品質
- 大きなダクトの揚重は、人力の限界を見誤らないことが第一です。荷重に応じてチェーンブロック・リフターを使い、吊り上げ中の下に人を入れない動線を仕切ります(空調機器の揚重・玉掛け作業)
- 高所作業車・脚立の使い分けと墜落防止は、朝礼・KYで具体的に指示します(天井内・高所作業の安全対策)
- 吊り込み後、フランジの締結・クリップ・ビス・テープの状態を系統ごとに確認し、写真で記録します(隠蔽部の施工写真管理)
工程5:施工後の確認
- ダンパー類の動作確認。隠ぺい部分のダンパーは点検口があることを確認し(第3編2.3.3)、防火ダンパー等は施工後に作動を確認します(第3編2.3.5)
- 漏気の確認。設計図書で試験の指定がある系統は試験を行い、一般系統も運転時の風切り音・漏れ音を確認します
- 系統の照合。吹出口・吸込口の位置と数を図面と照合します。試運転時の風量測定・調整(TAB=試験・調整・バランス調整)の下準備です
改修現場のダクト施工
- 既設ダクトの調査が最初の仕事。天井点検口から既設のルート・寸法・接続工法・保温状態を実測し、図面との食い違いを前提に計画します
- 稼働中系統の切り回し。営業中の建物では空調・換気を止められる時間が限られます。切替順序と仮設ダクト・仮閉鎖の計画を建物側と合意してから着工します
- 既存保温材の石綿(アスベスト)。古い建物のダクト保温・パッキン類には石綿含有の可能性があります。疑わしい材料は勝手に撤去せず、事前調査の手順に乗せてください(石綿含有ダクトの解体)
- 粉じん・臭気の養生と、撤去ダクトの搬出計画を見積段階から織り込みます
現場管理者のチェック表
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 製作発注前 | 現場実測との照合、分割搬入の要否、内寸か外寸か |
| 搬入時 | 板厚・接合用部材・補強・シール状況、つぶれ・変形の有無(写真) |
| 取付中 | 吊り間隔・振れ止め位置、クリップ間隔、ガスケット、ビス本数、継目全周のシール、テープ二重巻き |
| 閉じ込み前 | ダンパーの作動と点検口、貫通部処理、写真記録 |
国交省の営繕工事写真撮影要領でも、ダクト工事は「ダクト加工(寸法、補強、変形、フランジ、板厚等)」「接続工事」「支持及び固定(方法、間隔確認状況等)」「防火区画貫通処理状況」「ダンパー、制気口類」が撮影対象です。外注(板金業者)に出す場合も、この表を渡して一緒に確認すると品質のすり合わせが楽になります。
まとめ
- 吊り間隔は工法で決まります。アングルフランジ3,640mm以下、スライドオン3,000mm以下、共板2,000mm以下、スパイラル4,000mm以下です
- 横走りダクトは12m以下ごとと末端に振れ止め、立てダクトは各階1箇所以上に振れ止めを行います(周長1,000mm以内などの省略条件あり)
- スパイラルダクトは差込み継手(差込み60mm以上・ビス固定・継目全周シール・テープ二重巻き)かフランジ継手(カラー差込み100mm以上・M8ボルト100mm間隔)で接続します
- 共板フランジのクリップは端部150mm以内・間隔200mm以内、再使用はしません
出典・参考
- 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版(国土交通省大臣官房官庁営繕部。第3編1.14.3.6・表3.1.16、1.14.4.2・表3.1.27・表3.1.28、2.1.18.1、2.2.1、2.2.2・表3.2.2・表3.2.3、2.2.3・表3.2.4、2.2.5.3、2.2.5.4・表3.2.5、2.3.3、2.3.5)
- 公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版(国土交通省大臣官房官庁営繕部。「コーナーボルト工法ダクトのフランジ施工例(一)〜(三)」「ダクトの吊り金物・形鋼振れ止め支持要領」)
- 営繕工事写真撮影要領 令和5年改定(国土交通省大臣官房官庁営繕部。撮影対象表(機械設備工事編)「ダクト工事」)
関連リンク
※ 2026年10月1日:スパイラルダクトの差込み継手のシール手順を公共建築工事標準仕様書に合わせて見直し、吊り間隔・振れ止め・スパイラルダクトの接続・共板フランジのクリップ間隔の早見表、フランジ継手の施工手順、出典を追加しました。
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