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ダクトの漏れ(漏気)対策|シールの種類と施工・確認方法

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ダクトの漏れ(漏気)対策|シールの種類と施工・確認方法

ダクトの漏れ(漏気)対策の基本は、空気が漏れる「つなぎ目」を、圧力区分に応じたシールで確実にふさぐことです。国土交通省の公共建築工事標準仕様書と標準図では、シールを4種類(N・A・B・Cシール)に分け、低圧の長方形ダクトはダクト接合部の四隅をふさぐNシール、圧力が高くなるほどはぜ部や接続部にもシールを重ねる、というように定めています。

漏気は送風機が回っていても末端の風量が足りない原因になり、冷暖房した空気を天井裏に捨てる損失にもなります。この記事では、漏れやすい箇所、シールの種類と施工手順、確認の方法を、仕様書で確かめられる範囲で整理します。

ダクトの漏気が起こす問題

  • 風量不足。漏れた空気は吹出口に届きません。風量測定で送風機側と末端合計の差が大きい系統は、経路のどこかで失われています
  • エネルギーの損失。冷暖房した空気が天井内に漏れれば、その分だけ機器の能力が無駄になります
  • 結露・汚損。天井内に漏れた冷気は結露の原因になり、漏れや吸い込みの気流は天井内のほこりを運んで汚れ・臭いの経路にもなります

公共建築工事標準仕様書でも、ダクトは「空気の通風抵抗、漏れ量、騒音及び振動が少なく」、内外差圧で変形しない構造とすることが求められています(第3編1.14.1)。

どこから漏れるか:弱点部の地図

ダクトの漏気は、平らな板面からはほとんど起こりません。漏れるのは継目と接続部です。

  • 角ダクトのフランジ接続部。ガスケットの切れ目、四隅(コーナー)のふさぎ不足が典型です。学会の研究でも、フランジ部はダクトの漏気箇所の中で漏気量が多い箇所の一つとされています
  • はぜ部。はぜ(板の縁を折り曲げて噛み合わせた継目)の加工精度が低い箇所、現場で叩いて調整した箇所
  • スパイラルダクトの差込み接続部。継目のシール材の塗り残し、テープの巻き不足
  • 分岐・枝取り出し部。現場加工の取り出し口は、工場製作品より漏れのリスクが高い箇所です
  • リベット・ボルトの貫通部。高い気密を求める系統では、ここもシールの対象になります(Cシール)
  • ダンパー軸・測定口・点検口まわり、機器接続のたわみ継手(キャンバス)。経年で劣化・破れが出やすい箇所です

シールの種類と適用:圧力区分ごとの早見表

公共建築工事標準仕様書は、シールの方法を標準図(シールの施工例(一)・(二))によるとしています(第3編2.2.1)。標準図が示すシールの種類は次の4つです。

種類シールする部位(標準図の定義)
Nシールダクト接合部のダクト折り返し四隅部
Aシールダクト縦方向のはぜ部
Bシールダクト接続部
Cシールリベット・ボルト等がダクトを貫通する部分

ダクトの圧力区分は、常用圧力で低圧ダクト(正圧+500Pa以下・負圧-500Pa以内)、高圧1ダクト(+500Paを超え+1,000Pa以下・-500Paを超え-1,000Pa以内)、高圧2ダクト(+1,000Paを超え+2,500Pa以下・-1,000Paを超え-2,000Pa以内)の3つです(第3編表3.1.13)。標準図の注記による、区分ごとのシールの適用は次のとおりです。

ダクト区分シール
長方形ダクト低圧ダクトNシール
長方形ダクト高圧1ダクトピッツバーグはぜはNシール、ボタンパンチスナップはぜはN+Aシール
長方形ダクト高圧2ダクト正圧1,000Paを超える場合はN+Aシール、特記によりBシール
長方形ダクト排煙ダクトNシール
長方形ダクト厨房・浴室等の多湿箇所の排気N+A+Bシール(仕様書第3編2.2.1。水抜管は特記)
円形ダクト高圧1ダクトAシール、Bシール
円形ダクト高圧2ダクトAシール、Bシールのほか、特記によりCシール

(出典:公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版「シールの施工例(一)・(二)」、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和7年版 第3編2.2.1)

特記(設計図書での個別指定)があればそれが優先します。民間工事で基準の指定がない場合も、発注者の仕様書・最新の規格で確認してください。

シール施工の勘所

シール材とテープの仕様

公共仕様書では、シール材はシリコンゴム系またはニトリルゴム系を基材とし、ダクトの材質に悪影響を与えないもの、ダクト用テープはアルミニウム箔の片面に樹脂系粘着剤を塗布したものとしています(第3編1.14.2.5・1.14.2.6)。手元にある別用途のコーキング材を流用せず、仕様に合う指定品を使います。

スパイラルダクトの接合手順

スパイラルダクトの差込み継手の接合は、仕様書で手順が決まっています(第3編2.2.3.2)。

  1. 継手を直管に差し込む(継手の差込み長さは60mm以上。第3編表3.1.27)
  2. 鋼製ビスで周囲を固定する(ビス本数は内径に応じて片側3〜12本。第3編表3.2.4)
  3. 継手と直管の継目全周にシール材を塗布する
  4. ダクト用テープで二重巻きにする

シール材は継目の全周に切れ目なく塗ります。テープは貼る面の油分・ほこりを拭き取り、押さえ込んで密着させます。

角ダクトのフランジ接合

  • アングルフランジは、接合後にフランジ幅と同一となるフランジ用ガスケットを使い、ボルト・ナットで片締めのないよう気密に締め付けます(第3編2.2.1)
  • 共板フランジ(コーナーボルト工法)は、四隅のボルト・ナットと専用のフランジ押さえ金具(クリップ等)、ガスケットで接続します(標準図)。押さえ金具の取付間隔はダクト施工の基本の表を参照してください。仕様書は押さえ金具の再使用を禁止しています(第3編1.14.3.6)
  • 低圧ダクトでもNシール(四隅)は必要です。四隅のシール完了箇所にマーキングし、消し込む運用にすると塗り忘れが目で見て分かります

つなぎ目を作った人がその場でシールまで

後からまとめてシールする段取りは、塗り忘れの原因になります。接続した人がその場でシール・テープまで完了させる手順を標準にします。

たわみ継手と貫通部

送風機とダクトの接続にはたわみ継手を使います(第3編2.1.18.1)。一般用ダクトのたわみ継手は、不燃性能をもつ繊維系クロスを二重にし、片面に漏れ防止用のアルミニウム箔を貼ったものと定められています(第3編1.14.12)。外壁を貫通するダクトとスリーブの隙間は、バックアップ材等を充塡してシーリングし、水密を確保します(第3編2.2.1)。

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漏気の確認方法

漏気試験(設計図書で指定がある場合)

高い気密性が求められる系統で設計図書に漏気量の基準や試験が指定されている場合は、ダクトの区間を閉止して加圧し、漏気量を測定する試験を行います。公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)の本文には、ダクトの漏気量の数値基準は見当たりません(2026年10月確認)。試験の方法・圧力・判定基準は設計図書・発注者の仕様書の指定に従い、実施区間・条件・結果を試験記録に残します。

一般系統の簡易確認

  • 送風機を運転し、接続部に手をかざして漏れ風を確かめる
  • 発煙管などで気流を見えるようにする
  • 運転時の笛のような音・シューという音は漏気のサインです
  • 送風機側と末端合計の風量差を見る。風量測定口の取付け個数は仕様書で長辺の寸法に応じて1〜3個と定められています(第3編表3.2.6)。後から開けた孔は漏れの原因になりやすいので、測定口は最初から計画します

施工時のチェックリスト

確認項目根拠・確認方法
圧力区分とシールの種類が合っているか上の早見表、設計図書の特記
角ダクトの四隅(Nシール)が全数ふさがっているかマーキングで消し込み
アングルフランジのガスケットがフランジ幅と同一で、片締めがないか目視・締付け確認
共板フランジの押さえ金具の間隔、再使用品でないか標準図の間隔、新品の使用
スパイラルの差込み長さ・ビス本数・全周シール・テープ二重巻き仕様書第3編2.2.3.2
たわみ継手の破れ・ずれ、機器との芯ずれ目視
外壁貫通部のシーリング目視
閉じ込み前の写真(接合部・シール状態)隠蔽部の施工写真管理

国交省の営繕工事写真撮影要領でも、ダクト工事の機材は「形状(板厚、接合用部材、補強、シール状況等)」を搬入時に、施工は「接続工事(接続作業、品質管理状況等)」を施工中に撮影する対象としています。

漏気を減らす設計と製作の工夫

  • 接続数を減らす。定尺の使い方・分割位置の工夫で、現場接続の数そのものを減らします
  • 工場加工の比率を上げる。現場の手加工より、工場製作の接続部のほうが気密は安定します。板金工場との連携で現場合わせの箇所を減らします
  • 測定口・点検口は最初から。風量測定・ダンパー点検に必要な開口は施工図の段階で計画します
  • 圧力の高い系統は工法から。高い気密が要る系統は、圧力区分と工法の選定(ダクトの種類と規格)で応えるのが基本です

既存ダクトの漏気診断と改修

「風が弱くなった」という相談では、ファン・フィルターと並んでダクトの漏気を疑います。

  • 天井点検口から、接続部のテープの劣化・シールの剥がれ・たわみ継手の破れを目視します
  • ダクト表面や周辺の汚れの筋は、長期間の漏れ気流の痕跡として読めます
  • 補修は清掃・再シール・テープ巻き直しが基本です。劣化が広範囲なら、系統単位の巻き直し・更新を検討します。更新前の現地調査の項目に「ダクト気密の状態」を含めてください

漏気補修は、機器を替えずに風量を回復させる省エネ改修の提案にもなります。

よくある質問

  • どのくらいの漏気なら許容されますか。設計図書・発注者の仕様書の指定によります。指定がない一般空調でも、手をかざして分かる漏れや音のする漏れは是正の対象と考えてください
  • 低圧ダクトでもシールは必要ですか。公共建築設備工事標準図では、低圧の長方形ダクトはNシール(接合部の四隅)とされています
  • 内貼りダクトのシールはどうしますか。内貼り面を傷めない位置・方法での処理が必要です。内貼りと外貼りの違いを踏まえ、製作段階で気密処理を織り込みます
  • 古いダクトのテープがボロボロです。全部やり直しですか。劣化範囲によります。風量測定で実害の程度を確かめてから、系統単位か部分補修かを提案すると費用対効果を説明しやすくなります

会社の標準にする

  • シール材・テープの指定品を決め、在庫管理の常備品にします
  • 「つなぎ目はその場でシール」「四隅は全数」「閉じ込み前に運転確認」を作業手順書に明文化します
  • 閉じ込み前の写真に、接合部・シール状態のカットを含めます

まとめ

  • 漏気は風量・省エネ・結露・汚損に効く見えない損失で、弱点は継目と接続部です
  • シールはN(四隅)・A(はぜ)・B(接続部)・C(リベット・ボルト貫通部)の4種類。低圧の長方形ダクトはNシール、圧力区分が上がるほど重ねます
  • スパイラルダクトは、差込み・ビス固定・継目全周のシール・テープ二重巻きの順です
  • 漏気試験の方法と基準は設計図書の指定に従い、一般系統も運転確認と風量差のチェックを習慣にします

出典・参考

関連リンク

※ 2026年10月1日:スパイラルダクトのシール手順を公共建築工事標準仕様書に合わせて見直し、N・A・B・Cシールの部位と圧力区分ごとの適用の早見表、シール材・テープ・たわみ継手の仕様、施工時のチェックリスト、出典を追加しました。

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