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エアコンのロウ付けに必要な資格|ガス溶接技能講習と保護具

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エアコンのロウ付けに必要な資格|ガス溶接技能講習と保護具

エアコンの冷媒配管を酸素と可燃性ガス(アセチレン・プロパン等)のトーチでロウ付けする作業には、ガス溶接技能講習の修了などの資格が必要です。労働安全衛生法施行令 第20条第10号は「可燃性ガス及び酸素を用いて行なう金属の溶接、溶断又は加熱の業務」を就業制限業務としており、溶接・溶断だけでなく金属の「加熱」も対象に含めています。この業務に就けるのは、ガス溶接作業主任者免許を受けた者、ガス溶接技能講習を修了した者、その他厚生労働大臣が定める者です(労働安全衛生規則 第41条・別表第三)。

資格のない人にこの業務をさせることは事業者の義務違反で、資格のない人が自分で行うことも禁止されています(労働安全衛生法 第61条第1項・第2項)。この記事では、資格の区分、ガス溶断・ロウ付けの保護具と火気管理について、条文で確かめられる範囲で整理します。

資格の早見表

作業必要な資格・教育根拠
酸素と可燃性ガスを使う金属の溶接・溶断・加熱(ロウ付けの加熱を含む)ガス溶接技能講習の修了者、ガス溶接作業主任者免許者 等安衛令 第20条第10号、安衛則 第41条・別表第三
アセチレン溶接装置(発生器を使うもの)またはガス集合溶接装置を用いる溶接・溶断・加熱の作業ガス溶接作業主任者(免許)を選任安衛令 第6条第2号、安衛則 第314条
アーク溶接機を用いる金属の溶接・溶断等アーク溶接等の業務の特別教育安衛則 第36条第3号
資格を持って業務に従事するとき免許証・修了証など資格を証する書面を携帯労働安全衛生法 第61条第3項

ガス溶接作業主任者が必要になる装置

安衛令 第1条の定義では、「アセチレン溶接装置」はアセチレン発生器を使う設備(溶解アセチレンの容器を使うものは含まない)、「ガス集合溶接装置」は10本以上の可燃性ガスの容器を導管で連結した装置、または9本以下でも容器の内容積の合計が溶解アセチレン・水素で400リットル以上、その他の可燃性ガスで1,000リットル以上の装置を使う設備です。これらを使う作業ではガス溶接作業主任者を選任し、作業方法の決定・指揮、器具の点検、保護眼鏡と保護手袋の使用状況の監視などを行わせます(安衛則 第315条・第316条)。

酸素を使わないトーチの場合

条文の対象は「可燃性ガス及び酸素を用いて」行う業務です。酸素を使わず空気と可燃性ガスで燃焼させるトーチは、文言上この号には当たりません。ただし、火気使用の規定(安衛則 第279条・第285条・第286条・第291条)は使う燃料にかかわらず適用され、元請の現場ルールで資格の提示を求められることもあります。自社の作業がどれに当たるかは、使っている機材で判断し、迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。

無資格作業が招いた公表事例

厚生労働省「職場のあんぜんサイト」には、倉庫の解体工事でアセチレンガスを使って鉄骨の棚を溶断していたところ、壁に吹き付けられた断熱材(硬質ウレタンフォーム)に火が移り、作業者1人が死亡した事例が公表されています。作業した3人は資格を口頭で確認されただけで、実際には全員がガス溶接の資格を持っていませんでした。断熱材が燃えやすいことも作業者に説明されていませんでした。

資格の確認は修了証で行い、天井内の断熱材や保温材など、火気作業の周囲にある可燃物を作業前に作業者へ伝えることが、この事例から引き出せる教訓です。

ガス溶断・ロウ付けの保護具(法令で決まっていること)

規定内容条文
有害な光線にさらされる業務等保護衣・保護眼鏡・呼吸用保護具等の適切な保護具を備える。請負人にも使用できるよう周知安衛則 第593条
アーク溶接など強烈な光線を発散する場所区画し、適当な保護具を備える安衛則 第325条
アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置を使う作業作業者に保護眼鏡と保護手袋を着用させる安衛則 第312条第7号・第313条第8号
ガス溶接作業主任者の職務保護眼鏡と保護手袋の使用状況を監視安衛則 第315条第9号・第316条第6号

条文で名指しされているのは保護眼鏡(遮光めがね)と保護手袋です。実務では、火花から身を守る難燃性の作業服、革手袋、足元の安全靴を標準装備にし、夏場でも素肌で火を扱わないルールにします。遮光の度合いは作業の種類に合ったものを、保護具メーカーの選定表で選んでください。

ガス容器の扱い(安衛則 第263条)

ガス溶接等の業務に使うガスの容器については、次のことが決まっています。

  • 通風・換気が不十分な場所、火気を使う場所とその付近、危険物や多量の燃えやすい物を扱う場所とその付近に、設置・使用・貯蔵・放置しない
  • 容器の温度を40度以下に保つ
  • 転倒しないように保持する。衝撃を与えない
  • 運搬するときはキャップを付ける
  • 使うときは口金に付いた油類・じんあいを取り除く
  • バルブは静かに開閉する
  • 溶解アセチレンの容器は立てて置く
  • 使用前・使用中の容器と、それ以外の容器を区別しておく

酸素は燃焼を激しく助けるため、調整器やバルブまわりを油で汚さないことが基本です。換気のために酸素を使うことは禁止されています(安衛則 第286条)。逆火(炎がトーチ側からホース内へ戻る現象)を防ぐ逆火防止器(乾式安全器)は、機材メーカーの取扱説明書に従って取り付け、点火・消火のバルブ操作の順序も説明書どおりに守ります。

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通風の悪い場所でのガス溶接(安衛則 第262条)

天井内・機械室・ピットなど通風・換気が不十分な場所で、酸素と可燃性ガスを使って溶接・溶断・金属の加熱をするときは、次の措置が必要です。

  • 損傷・摩耗のないホースと吹管(トーチ)を使う
  • ホースと吹管、ホースどうしの接続はホースバンド等で確実に締め付ける
  • ホースにガスを送るのは、ガスが出ない状態にした吹管か止め栓を付けてから
  • 使用中のホースのバルブ・コックには使用者の名札を付ける等、誤操作を防ぐ表示をする
  • 溶断では、過剰酸素による火傷を防ぐため十分に換気する
  • 作業を中断・終了して離れるときは、供給口のバルブを閉めてホースを外すか、通風の良い場所へ移す

火気作業のチェックリスト(ロウ付け・溶断)

根拠の条文があるものは括弧内に示しています。

  • 作業者がガス溶接技能講習の修了証等を持っており、携帯している(安衛令 第20条第10号、安衛法 第61条第3項)
  • 周囲に断熱材・保温材・木下地など燃えやすい物がないか確認し、除去または不燃シートで養生した(安衛則 第279条)
  • 配管内に油類が残るおそれがある場合は、除去等の措置をした(安衛則 第285条)。冷媒の回収と窒素置換の手順は冷媒配管のロウ付けを参照
  • ホース・吹管に損傷がなく、接続部を締め付け、石けん水等で漏れを確認した(安衛則 第262条)
  • 容器は立てて固定し、40度以下に保ち、火気から離した(安衛則 第263条)
  • 保護眼鏡・保護手袋・難燃性の作業服を着けている(安衛則 第593条)
  • 消火器を手元に置いた
  • 作業後に残火の始末をし、時間を置いて再確認した(安衛則 第291条第3項)
  • 元請の火気使用許可の手続きを済ませた

微燃性冷媒(R32など)を扱う場合の注意はR32など微燃性冷媒の取り扱い、高圧ガスの法令は高圧ガス保安法と冷媒の関係、漏れの確認は気密試験と真空引きで解説しています。ボンベの保管は材料・在庫管理にも組み込んでください。

会社としての資格管理

  • 資格台帳を作る。誰が・どの資格を・いつ取得したかを一覧にし、育成ロードマップの到達目標と連動させます。火気作業に就かせる前提条件として講習修了を明文化します
  • 修了証で確認する。口頭の自己申告で済ませないことが、上の公表事例の教訓です。新規入場時の書類にも反映します
  • 協力会社にも同じ基準を求める。応援や協力会社の作業者も資格確認を発注条件にするのが協力会社管理の一部です
  • 資格の先の社内認定を設ける。技能講習の修了は法令上のスタートラインです。点火から消火・片付け、養生の組み方、ロウ付けの品質を先輩の立ち会いで確認してから単独作業を認めます
  • 安全書類に反映する。有資格者の配置と火気作業の管理方法を施工計画書・安全書類に書きます

まとめ

  • 酸素と可燃性ガスで金属を溶接・溶断・加熱する業務は就業制限業務で、ロウ付けの加熱も含まれます。ガス溶接技能講習の修了者等でなければ就けません(安衛令 第20条第10号、安衛則 第41条)
  • アセチレン発生器やガス集合溶接装置を使う作業では、ガス溶接作業主任者(免許)の選任が必要です
  • 保護具は保護眼鏡と保護手袋が条文に明記されています。容器は40度以下・転倒防止・溶解アセチレンは立てて置く、換気に酸素を使わない、残火の始末も条文で決まっています
  • 資格は修了証で確認し、可燃物の情報を作業者に伝えることが、無資格作業による火災事例から学ぶべき点です

出典・参考

法令は改正されることがあります(最終確認:2026-10-01)。

関連リンク

※ 2026年10月1日:冒頭でエアコンのロウ付けに必要な資格を言い切る形に改め、労働安全衛生法施行令第20条第10号・労働安全衛生規則第41条に基づく資格の早見表、ガス溶接作業主任者が必要な装置の定義、保護具とガス容器・通風の悪い場所での作業の規定、職場のあんぜんサイトの公表事例、火気作業のチェックリスト(根拠条文つき)、出典を追加しました。逆火防止器の取付けや使用圧力の上限など、条文で確かめられない記述は法令上の義務としては扱わない形に改めました。

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