空調業務改善Navi
安全衛生約19分で読めます

ダクトのアスベスト(石綿)対応|事前調査・報告・届出の基準

公開日:最終更新日:

編集・発行:

ダクトのアスベスト(石綿)対応|事前調査・報告・届出の基準

空調ダクトや配管・煙突を撤去・改修するときは、工事の規模にかかわらず、着手前に石綿(アスベスト)が使われているかを調べる事前調査が必要です(石綿障害予防規則 第3条)。建物に付いている空調・換気設備の事前調査は、2023年10月からは建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行わなければならず、解体部分の床面積80㎡以上の解体工事や請負代金100万円以上の改修工事では、調査結果を労働基準監督署へ電子システムで報告します(同 第3条第4項・第4条の2)。

保温材・パッキン・煙突の断熱材など、空調・ダクトの仕事は古い石綿含有建材に触れる機会の多い仕事です。この記事では、事前調査から報告・届出・作業の基準までを、条文と厚生労働省・環境省の資料で確かめられる範囲で整理します。

石綿対応の基準早見表

項目内容根拠
事前調査解体・改修(封じ込め・囲い込みを含む)の前に、作業に係る部分の全ての材料について、設計図書等の文書と目視で調査する。規模の大小は問わない石綿則 第3条第1項・第2項
文書確認だけでよい場合新築工事の着工日が2006年(平成18年)9月1日以降であることを設計図書等で確認できる建築物 等石綿則 第3条第3項第3号
調査者の資格建築物(建築設備を含む)は2023年(令和5年)10月から、建築物石綿含有建材調査者等が行う。工作物は2026年(令和8年)1月1日以降着工の工事から工作物石綿事前調査者等石綿則 第3条第4項、厚生労働省 石綿総合情報ポータル
分析調査事前調査で有無が明らかにならないときは分析調査。石綿ありとみなして対策を講じる場合は不要石綿則 第3条第5項
記録と掲示調査結果の記録を3年間保存。調査終了日と調査結果の概要を作業場に掲示石綿則 第3条第7項・第8項
労働基準監督署への報告解体部分の床面積合計80㎡以上の建築物の解体、請負代金100万円以上の建築物の改修、請負代金100万円以上の特定の工作物の解体・改修は、電子システムで事前に報告石綿則 第4条の2
発注者への説明(大気汚染防止法)元請業者は調査を行い、結果等を書面で発注者に説明。発注者は調査費用を適正に負担する等して協力大気汚染防止法 第18条の15第1項・第2項
都道府県知事への報告(大気汚染防止法)元請業者等は調査の結果を都道府県知事に報告大気汚染防止法 第18条の15第6項
吹付け石綿・保温材等の除去の届出吹付け石綿、石綿を含む保温材・耐火被覆材等(粉じんを著しく発散するおそれのあるもの)の除去・封じ込め・囲い込みは、仕事の開始14日前までに労働基準監督署へ計画を届出労働安全衛生法 第88条第3項、安衛則 第90条第5号の2・第5号の3、石綿則 第5条
大気汚染防止法の作業届届出対象特定工事は、発注者が作業開始の14日前までに都道府県知事へ届出大気汚染防止法 第18条の17
作業主任者・特別教育石綿作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選任。解体等の作業者には特別教育石綿則 第19条・第27条
作業の記録常時作業に従事する労働者の作業の記録を、作業に従事しなくなった日から40年間保存石綿則 第35条

空調ダクト・配管は「建築物」として扱う

石綿則では、調査の資格や報告の対象が「建築物」と「工作物」で分かれています。厚生労働省の石綿総合情報ポータルが示す対象工作物の一覧では、配管設備と煙突から「建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備」が除かれています。建築基準法でも、建築物は建築設備を含み、建築設備には換気・暖房・冷房の設備や煙突が含まれます(建築基準法 第2条第1号・第3号)。

つまり、建物の空調ダクト・冷温水配管・建物に設けた煙突の改修や撤去は、建築物の解体・改修として扱い、事前調査は建築物石綿含有建材調査者等が行います。報告の要否も「建築物の解体(床面積80㎡以上)」「建築物の改修(請負代金100万円以上)」の基準で判断します。

空調・ダクトの仕事で石綿に出会う場所

石綿含有の可能性を疑って事前調査で確認する部位の例です。

  • 配管・ダクトの保温材。特に曲がり部やバルブまわりの成形保温材
  • ボイラー・給湯設備の煙突の内側の断熱材
  • 機械室・天井裏の吹付け材(耐火被覆・吸音)
  • ダクトのフランジのガスケット(パッキン)、たわみ継手の一部
  • ケイ酸カルシウム板などの成形板(囲い・間仕切り)
  • 空調機・ボイラー内部の断熱材・パッキン

石綿の有無は見た目では判別できません。竣工年代は手がかりになりますが、着工日が2006年9月1日以降と文書で確認できる場合を除き、古い材料が改修で残っていることもあるため、年代だけで「なし」と判断しないでください(石綿則 第3条第3項第3号が文書確認だけで済む場合を限定しているのはこのためです)。

PattoAI

施工計画書の作成や配管の拾い出しに、毎回時間を取られていませんか?

施工計画書の作成や図面からの配管長の拾い出しにかかる時間を、PattoAI で大幅に短縮できます。

事前調査から着工までの流れ

  1. 見積・現地調査の段階で、撤去・改修する範囲(ダクト、保温材、機器、煙突)を特定する。更新工事の現地調査のチェック項目に石綿を入れておきます
  2. 有資格者が、設計図書等の文書と目視で、範囲内の全ての材料を調査する。天井内など目視できない材料は、見えるようになった時点で調査します(石綿則 第3条第9項)
  3. 有無が分からない材料は分析調査に出すか、石綿ありとみなして対策を講じる
  4. 元請業者が、調査結果と作業の内容を書面で発注者に説明する(大気汚染防止法 第18条の15)
  5. 報告対象の工事なら、労働基準監督署(石綿則 第4条の2)と都道府県知事(大気汚染防止法 第18条の15第6項)へ報告する
  6. 石綿を含む保温材等の除去がある場合は、14日前までの届出と、作業計画・作業主任者・特別教育・保護具を準備する
  7. 調査結果の概要を作業場に掲示し、記録を備え付けて着工する

報告は、同じ工事を2つ以上の契約に分けて請け負った場合も1つの契約とみなし(第4条の2第4項)、下請に出している場合は元請側の事業者が作業の全部について報告します(同第5項)。

現場で疑わしい材料に出会ったら

事前調査で見えなかった材料が、撤去の途中で現れることがあります。

  1. 触らず、作業を止める。剥がす・割る・こするは粉じんを出す行為です
  2. 周囲の立入りを止め、写真で記録する
  3. 元請・発注者へ報告する。判断は調査の資格者の領域で、自社で「たぶん大丈夫」と決めてはいけません
  4. 目視できるようになった材料として事前調査を行い(第3条第9項)、結果が出るまでその部位の作業を再開しない

石綿を含む材料の切断等をする場合は、湿潤な状態にする・除じん性能のある電動工具を使う等の措置(第13条)、呼吸用保護具と作業衣の使用(第14条)が必要です。吹付け石綿や保温材の切断等を伴う除去では、作業場所の隔離、集じん・排気装置、前室、負圧の保持が求められます(第6条)。

見積・工程への織り込み方

  • 見積条件に明記する。「石綿の事前調査の結果、含有建材が確認された場合の分析・除去費用は別途協議」の一文は見積条件の定番です。大気汚染防止法は、発注者が調査費用を適正に負担する等して調査に協力することを定めています(第18条の15第2項)
  • 工程に調査と届出の期間を入れる。分析には日数がかかり、保温材等の除去には14日前までの届出が必要です。熱源更新など大型改修は、調査から逆算して工程を組みます
  • 専門業者との連携を平時に整える。調査の資格者・分析機関・除去業者のつながりは、協力会社網の一部です
  • 発注者への説明資料を用意する。「なぜ調査が必要か・どの段階で何が決まるか」を説明できる1枚が、追加費用の合意を滑らかにします

「調査費を削ってほしい」と言われても、事前調査は規模を問わない法令上の義務であり、省く選択肢はありません。費用の内訳(調査・分析・届出・除去)と、現時点で確定しているのは調査までであることを示して説明します。

自社の体制チェックリスト

  • 改修・撤去の見積前チェックに、撤去範囲の材料と石綿の可能性が入っている
  • 建築物石綿含有建材調査者(社内取得または外部委託)の手配先が決まっている
  • 現地調査の写真に、保温材・吹付け材・成形板・ガスケットの状態を残している
  • 報告の要否(解体80㎡以上・改修100万円以上)を判定する欄が見積書式にある
  • 保温材等の除去がある場合の14日前届出と工程の逆算ができている
  • 疑わしい材料を見つけたときの行動(止める・隔離・報告)を全作業員が知っている
  • 調査記録(3年)と作業の記録(40年)の保存先が決まっている
  • 石綿作業主任者と特別教育修了者の台帳がある

まとめ

  • ダクト・配管・煙突の撤去・改修は、規模を問わず着手前の事前調査が必要です(石綿則 第3条)
  • 建物の空調・換気設備は建築物として扱い、2023年10月からは建築物石綿含有建材調査者等が調査します
  • 解体80㎡以上・改修100万円以上は労働基準監督署へ電子報告、大気汚染防止法でも元請業者は発注者への説明と都道府県知事への報告を行います
  • 保温材等の除去は14日前までの届出、作業主任者、特別教育、隔離・湿潤化・保護具が必要です
  • 施行時期・対象・金額の基準は改正されることがあるため、着工前に厚生労働省・環境省の最新情報で確認してください

出典・参考

法令は改正されることがあります(最終確認:2026-10-01)。

関連リンク

※ 2026年10月1日:冒頭で事前調査の義務と有資格者・報告の基準を言い切る形に改め、石綿障害予防規則・大気汚染防止法・労働安全衛生法の条文で確認した基準の早見表(事前調査、2023年10月からの有資格者、解体80㎡以上・改修100万円以上の報告、14日前の届出、記録の保存期間)、空調設備を建築物として扱う根拠、事前調査から着工までの流れ、体制チェックリスト、出典を追加しました。

お悩み別 おすすめサービス

いまの課題に近いものはどれですか?

選んだお悩みに最適なサービスのご案内ページへ移動します。

無料デモで確認する(オンライン30分)

2営業日以内に担当者からご連絡します。無理な営業はいたしません。

あわせて読みたい関連記事