建築物衛生法(ビル管法)の空気環境基準|温湿度・CO2と測定頻度
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編集・発行:KMC株式会社
建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律、通称ビル管法)の空気環境の管理基準は、浮遊粉じん0.15mg/㎥以下、一酸化炭素6ppm以下、二酸化炭素1000ppm以下、温度18℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下、気流0.5m/s以下、ホルムアルデヒド0.1mg/㎥以下です(同法施行令 第2条)。空気調和設備のある特定建築物では、このうち6項目を2か月以内ごとに1回測定します(同法施行規則 第3条の2)。
温度の下限と一酸化炭素の基準は、令和4年4月1日から変わっています(温度17℃→18℃、一酸化炭素10ppm→6ppm)。古い資料の数値のまま説明しないよう注意してください。
空気環境の管理基準の早見表
| 項目 | 基準値(居室) | 令和4年3月31日までの基準 | 空調・換気側の関係 |
|---|---|---|---|
| 浮遊粉じんの量 | 0.15mg/㎥以下 | 同じ | フィルターの性能と保守 |
| 一酸化炭素の含有率 | 6ppm以下 | 10ppm以下(外気が10ppm以上の場合は20ppm以下の特例。特例は廃止) | 燃焼機器・駐車場排気との縁切り |
| 二酸化炭素の含有率 | 1000ppm以下 | 同じ | 外気量・換気設備の実力 |
| 温度 | 18℃以上28℃以下。居室の温度を外気より低くする場合は、その差を著しくしない | 17℃以上28℃以下(後段は同じ) | 空調能力・制御・気流配分 |
| 相対湿度 | 40%以上70%以下 | 同じ | 加湿装置の能力と保守、除湿 |
| 気流 | 0.5m/s以下 | 同じ | 吹出しの設計・調整 |
| ホルムアルデヒドの量 | 0.1mg/㎥以下 | 同じ | 新築・改修後の換気 |
根拠: 施行令 第2条第1号イ(令和3年政令第347号で改正、令和4年4月1日施行)。改正前後の数値は厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」による。
基準は「おおむね適合するように」空気を浄化し、温度・湿度・流量を調節して供給する、という形で定められています。機械換気設備(温度・湿度の調節機能がない設備)だけの場合は、浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流・ホルムアルデヒドの5項目が対象です(施行令 第2条第1号ロ)。
測定の方法と頻度
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 測定の時間・場所 | 通常の使用時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置 | 施行規則 第3条の2第1号 |
| 比較する値 | 浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素は1日の使用時間中の平均値で基準と比べる | 同 第2号 |
| 頻度(空気調和設備) | 浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流を2か月以内ごとに1回 | 同 第3号イ |
| 頻度(機械換気設備) | 浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流を2か月以内ごとに1回 | 同 第3号ロ |
| ホルムアルデヒド | 建築・大規模の修繕・大規模の模様替を行ったとき、その階の居室で、使用開始後最初の測定期間(6月1日〜9月30日)中に1回 | 同 第4号 |
| 測定器 | 温度は0.5度目盛の温度計、相対湿度は0.5度目盛の乾湿球湿度計、気流は0.2m/s以上を測定できる風速計、CO・CO2は検知管方式の検定器など(一酸化炭素〜気流は同程度以上の性能の測定器も可) | 同 第1号 |
| 記録 | 測定・点検・整備の状況を帳簿書類に記載し、5年間保存 | 施行規則 第20条 |
厚生労働省は、ホルムアルデヒドが基準を超えた場合は外気導入量を増やすなどの低減策に努め、翌年の測定期間中に再度測定する必要があるとしています。
特定建築物の要件
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 用途 | 興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校教育法第1条の学校等以外の学校(研修所を含む)、旅館 | 施行令 第1条 |
| 規模 | 上記用途の部分の延べ面積が3,000平方メートル以上。専ら学校教育法第1条の学校・幼保連携型認定こども園の用途に供される建物は延べ面積8,000平方メートル以上 | 施行令 第1条 |
| 届出 | 使用されるに至った日から1か月以内に都道府県知事等へ届出 | 法 第5条 |
| 管理技術者 | 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)を選任 | 法 第6条 |
| 特定建築物以外 | 多数の者が使用・利用する建物は、管理基準に従って維持管理するよう努める(努力義務) | 法 第4条第3項(厚生労働省の解説による) |
管理基準を守る義務を負うのは、特定建築物の所有者・占有者など維持管理の権原を持つ者です(法 第4条第1項)。空調工事会社は直接の名宛人ではありませんが、自社が施工・保守する空調・換気の出来が、建物側の測定結果として数字になります。
なお厚生労働省は、管理基準に適合していないという理由だけで直ちに行政措置や罰則の対象となるわけではなく、違反があり、かつ人の健康を損なうおそれが具体的に予見される事態などの場合に、都道府県知事が改善命令等を出せると説明しています。
空気調和設備に求められる衛生上の措置
空気調和設備を設けている場合は、空気の測定とは別に、次の措置も必要です(施行規則 第3条の18)。冷却塔・加湿装置・ドレンパン(排水受け)は空調会社が日常的に触る部分です。
| 対象 | 措置 | 頻度 |
|---|---|---|
| 冷却塔・加湿装置に供給する水 | 水道法第4条の水質基準に適合させるための措置 | ― |
| 冷却塔・冷却水 | 汚れの状況の点検。必要に応じ清掃・換水等 | 使用開始時と使用期間中1か月以内ごとに1回 |
| 加湿装置 | 汚れの状況の点検。必要に応じ清掃等 | 使用開始時と使用期間中1か月以内ごとに1回 |
| 空気調和設備内の排水受け | 汚れと閉塞の状況の点検。必要に応じ清掃等 | 使用開始時と使用期間中1か月以内ごとに1回 |
| 冷却塔・冷却水の水管・加湿装置 | 清掃 | それぞれ1年以内ごとに1回 |
1か月を超えて使用しない期間は、その間の1か月ごとの点検は不要です。冷却塔の具体的な保守は冷却塔の保守点検で解説しています。
基準を外れたときの空調側の対策
冬の湿度不足
相対湿度の下限40%を下回るのは、加湿器の能力不足・給水の水質による目詰まり・保守不足・そもそも加湿装置がない、のいずれかが原因のことが多い項目です。加湿方式(気化・蒸気・水噴霧)の特性を理解し、加湿器の清掃・部材交換を保守メニューに組み込みます。加湿装置の月1回の点検は法定の措置でもあります。
CO2の超過
二酸化炭素1000ppm超は換気量の不足を意味します。在室人数の増加(会議室の詰め込み・レイアウト変更)、外気ダンパーの閉まり込み、全熱交換器・換気ファンの劣化・停止が定番の原因です。風量測定と外気系統の点検で原因を特定し、運用改善(外気量の設定見直し)から設備改修(換気設備の増強・CO2連動制御)まで段階的に提案します。換気を増やしつつ空調負荷を抑えるなら全熱交換器の出番です。
温度の不適合
18℃未満・28℃超は、能力不足だけでなく、気流配分・センサー位置・運用設定の問題であることも多い項目です。TAB調整や制御の見直しで解決できるケースと、機器更新が必要なケースの切り分けが、空調会社の診断力です。冷房時は「外気温との差を著しくしない」という定めもあるため、冷やし過ぎにも注意します。
「引っかかった」と相談されたときの対応フロー
- 測定記録を時系列で見る。2か月以内ごとの記録が5年分残っているはずです。単発か、毎年同じ季節に出るのか、悪化傾向なのかを確認します
- 発生条件を特定する。どの階・どの測定点・どの時間帯か。特定の会議室だけCO2が高いなら換気の局所問題、全館なら外気量・設備能力の問題と、当たりが変わります
- 現地で運用を見る。設備の劣化より先に、外気ダンパーの設定・換気の停止・加湿の水切れ・給気口の閉塞を確認します
- 対策を運用改善・保守・改修の3段階で提示する。すぐできること、点検整備で直ること、投資が必要なことを分けると、建物側の予算判断を助けます
- 対策後の測定で効果を確認する。次回の測定結果まで追いかけて、改善提案は完結します
空調工事会社の関わり方: 測定結果を仕事に変える
- 測定記録を見せてもらう。保守先・改修先が特定建築物なら、空気環境測定の記録は最高の診断材料です
- 原因調査を商品にする。「CO2が引っかかった」「湿度が出ない」という相談への原因調査・改善提案は、設備を触れる空調会社の仕事です
- 改修時に基準を意識して設計する。用途変更・レイアウト変更で在室人数が変われば、換気・空調の要求も変わります。大規模の修繕・模様替の後はホルムアルデヒドの測定もあるため、工事後の換気計画まで含めて提案します
- 建物側の担当者を支える。ビル管理士・設備員は是正を求められる立場です。技術的な裏付けと選択肢を出せる空調会社は頼られます(保守契約の土台にもなります)
まとめ
- 空気環境の基準は、浮遊粉じん0.15mg/㎥以下、CO 6ppm以下、CO2 1000ppm以下、温度18〜28℃、相対湿度40〜70%、気流0.5m/s以下、ホルムアルデヒド0.1mg/㎥以下です
- 令和4年4月1日から、温度の下限が17℃→18℃、一酸化炭素が10ppm→6ppmに変わりました
- 空気調和設備では6項目を2か月以内ごとに1回、床上75〜150cmで測定します。記録は5年間保存です
- 特定建築物は、事務所・店舗などの用途で延べ面積3,000平方メートル以上(学校等は8,000平方メートル以上)です
- 冷却塔・加湿装置・排水受けの月1回の点検と年1回の清掃も、空調設備に求められる措置です
出典・参考
- 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(第2条、第4条、第5条、第6条)(厚生労働省 法令等データベース)
- 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令(第1条、第2条)(厚生労働省 法令等データベース)
- 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(第3条の2、第3条の18、第20条)(厚生労働省 法令等データベース)
- 厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」(令和4年4月1日の改正前後の基準値、測定方法、特定建築物以外の努力義務)
法令は改正されることがあります(最終確認:2026-10-01)。届出先・指導の運用は、所管の保健所に確認してください。
関連リンク
※ 2026年10月1日:冒頭で空気環境の管理基準値と測定頻度を言い切る形に改め、建築物衛生法施行令第2条による基準値の早見表(令和4年4月の改正前後の比較つき)、施行規則第3条の2による測定方法・頻度の表、特定建築物の要件、空気調和設備の衛生上の措置(冷却塔・加湿装置・排水受け)の表、出典を追加しました。出典で頻度を確かめられない「不適合が出やすい項目」の記述は、断定しない形に改めました。
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