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空調自動制御の基礎|検出部・調節部・操作部と中央監視

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空調自動制御の基礎|検出部・調節部・操作部と中央監視

結論: 自動制御は「検出部・調節部・操作部」の3つでできている

空調の自動制御は、温度や圧力を測る検出部(センサー)、目標値と比べて出力を決める調節部(コントローラー)、弁やダンパーを実際に動かす操作部の3つの組み合わせです。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)第4編「自動制御設備工事」も、自動制御機器を検出部・調節部・操作部に分けて規定し、建物全体の監視・操作を行う中央監視制御装置を別に定めています。

不調の切り分けも、この3つのどこが悪いかで考えます。センサーが正しく測れていない(設置位置・故障)、調節部の設定が実態に合わない(設定値・スケジュール)、操作部が動かない(弁の固着・ダンパー不良)。この枠組みを持っておくと、どんな制御盤の前でも見るべき場所の当たりがつきます。

制御の基本構造(自社作成の早見表)

要素役割標準仕様書が挙げる機器根拠(第4編)
検出部状態を測る温度・湿度・二酸化炭素(CO2)濃度・圧力・流量の検出部1.2.1
調節部目標値と比べて操作を決めるデジタル式はDDC(ダイレクトデジタルコントローラ)等、電子式はデジタル指示調節器等1.2.2
操作部出力を変える電動弁(二方弁・三方弁・ボール弁・バタフライ弁等)、電磁弁、電動ダンパー1.2.3
中央監視制御装置建物全体の監視・操作・記録中央監視盤、周辺装置、端末装置の組合せ1.4.1

なお、第4編は温度・湿度・圧力・流量・液面等の一般的な制御・計測・監視に適用し、「機器に附属する制御及び特殊な制御には適用しない」とされています(1.1.1)。パッケージエアコンの内蔵制御のように機器に附属する制御は、機器メーカーの仕様で確認します。

制御方式: デジタル式・電子式・電気式

標準仕様書は制御方式を3つに分けています(第4編1.1.2)。

方式仕組み
デジタル式検出部の電気信号を調節部のマイクロプロセッサで演算し、操作部へ出力。ソフトウェア等で制御ロジックを組め、複数の制御ができる。調節部は中央監視制御装置との通信機能を備える
電子式検出部の電気信号を調節部のマイクロプロセッサで演算し、操作部へ出力
電気式検出部と一体の調節部で、温度・湿度・圧力・液面の変化を機械的・電気的な変位として取り出し、操作部へ出力

電気式の室内用の温度調節部は、動作隙間(オン・オフが切り替わる温度の幅)が二位置式で1〜2.5℃固定、比例帯が比例式で2〜3℃固定とされ、デジタル式・電子式は検出範囲で任意に設定できます(表4.1.1)。「設定温度どおりにならない」相談では、方式によって制御の細かさが違うことを押さえておきます。

個別空調の制御: センサーの位置が体感を決める

パッケージエアコン・ビル用マルチの制御で実務上いちばん大切なのは、温度を「どこで測っているか」です。

  • 本体の吸込センサーは天井付近の空気を測ります。居住域(人のいる高さ)との温度差が大きい空間では、体感とのずれが出ます
  • リモコン側のセンサーに切り替えられる機種もあります。「効かない」相談では、設定より先にセンサー位置を疑う視点が役に立ちます
  • ビル用マルチは、どのリモコンがどの室内機を束ねるか(グループ設定)が使い勝手を決めます。施工時のアドレス設定・グループ設定の記録は、後のサービスの命綱です(VRFの記事)

中央熱源の制御: 温度と流量

チラー・空調機・ファンコイルで構成される中央熱源方式の制御は、階層が増えます。

  • 熱源側: 冷温水の送水温度、チラーの台数制御、ポンプの流量・圧力の制御
  • 搬送側: 二方弁・三方弁による各機器への流量制御。流量を絞って搬送動力を減らす変流量(VWV)方式もあります
  • 空気側: 空調機の給気温度、外気量(CO2濃度連動など)、VAV(可変風量装置)による風量の制御

工事会社として押さえるべきは、制御弁・ダンパー・センサーが配管・ダクト工事の取り合い部材だということです。取付けの基準は次の節にまとめます(TAB調整で苦労するのもここです)。

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中央監視の機能: 何ができるのか

中央監視制御装置は、機器からの信号を受けて表示装置に状態・警報・計測値を表示し、中央監視盤からの指令を機器に送るものです(第4編1.4.2.2)。標準仕様書の表4.1.3は、監視制御機能を次のように整理しています(どれを採用するかは特記による)。

分類主な機能
監視・計測・表示・操作状態・警報監視、発停異常監視・状態不一致監視、計測、計測値上下限監視、計量(電力量・水道量・ガス量等)、設定値表示・操作、グラフィック表示、手動操作、グループ一括運転操作、日報・月報作成
制御機器連動制御、カレンダー管理、スケジュール設定・制御、最適起動/停止制御、季節切換制御、間欠運転制御、停電・復電制御、電力デマンド監視・制御、火災連動制御
保全業務支援機器台帳管理、機器稼働履歴監視、設備保全管理、保守スケジュール、集中検針、課金

エネルギーの計測・分析まで踏み込んだものはBEMS(ビルエネルギー管理システム)と呼ばれます。空調工事会社にとっての実務上の意味は3つあります。

  1. 改修時の連携確認。機器を更新すると、中央監視との信号(発停・状態・警報)の改修が必要になります。「エアコンは新しくなったが監視盤に出ない」を防ぐため、更新見積の段階で監視との接続範囲を工事区分に書きます
  2. 運転データの活用。計測値の履歴は不調診断の材料になります。「いつから・どの条件で」症状が出ているかをデータで遡れます
  3. 省エネ提案の土台。スケジュール、設定値、台数制御の見直しといった「工事をしない省エネ」は、監視データが読めて初めて提案できます(熱源更新・省エネ改修)

施工の基準: センサーと操作器の取付け

標準仕様書 第4編 第2章の取付け基準を、施工時のチェックリストにしました(自社作成)。

確認項目基準根拠(第4編)
室内形の温湿度・CO2検出器床上1.5m程度の高さで、直射日光と吹出し気流の影響を受けない位置2.1.2(1)
挿入形の検出器保温の厚みを考慮した取付台を介し、流体に対し垂直又は対向。配管・タンクには保護管2.1.2(2)
水系の圧力検出器検出口と導圧管の間に点検用バルブ。導圧管は1/10以上の勾配で発信器へ、末端にドレン抜き2.1.3(1)
ダクトの圧力検出圧力変動が少ない位置で、検出端を流れに直角2.1.3(3)
流量検出器・フロースイッチ流れの方向を確認し、上流・下流に必要な直管長を確保2.1.4
電動弁上流側にストレーナがあることを確認し、駆動軸を垂直に。斜めでも駆動部を弁本体より下にしない2.1.5(1)
電磁弁上流側にストレーナを確認し、コイル部を垂直に2.1.5(2)
配線の表示自動制御盤・プルボックス等の配線とケーブルに回路種別・行先を表示2.3.1(1)(ウ)
ケーブルの曲げ同軸ケーブルは外径の10倍以上、光ケーブルは敷設時20倍・固定時10倍以上2.3.1(1)(ア)(イ)
接地管・ボックス等にD種接地(最大電圧60V以下の直流の計測制御配線の配管は省略可)2.3.1(1)(サ)

検出器は「温度、湿度、圧力等が正確に検出できる場所」を選ぶのが原則です(2.1.1)。図面の位置を現場都合で動かす場合は、計装側(自動制御の専門業者)と協議します。センサー・通信の弱電線は、メーカーと計装業者の施工要領に従って動力線と分けて計画します。

試験と試運転調整

段階内容根拠(第4編)
試験自動制御盤・端末装置・中央監視盤の絶縁抵抗試験(線間及び対地間)。方法は製造者の規定により、結果を監督職員に報告2.5.1・表4.2.3
個別運転調整総合試運転調整の前に、自動制御機器・自動制御盤・中央監視制御装置に仮入力信号等を与えて基本動作を確認2.6.1
総合試運転調整監視・制御対象機器の運転・停止と連動の確認、設定値と運転内容が設計条件を満たす範囲かの確認、必要に応じて制御パラメータの微調整2.6.2(1)
報告書制御・計測調整報告書(日時、系統名、機器名称、型番、据付位置・状態、設定値、実測値、制御動作状態)2.6.2(2)

確認結果は試運転記録として残します。国土交通省の営繕工事写真撮影要領(令和5年改定)は、自動制御設備工事について、機材(搬入時)、配線状況・機器類の取付位置等(施工時)、動作試験・絶縁抵抗試験等の状況(試験開始時・試験中・試験終了時)を撮影対象にしています。

小規模建物でもできる「制御の改善提案」

中央監視のない中小規模の建物でも、制御の視点は提案の武器になります。

  • スケジュール設定の代行。集中リモコンのスケジュール機能が使われないまま放置されている建物があります。営業時間に合わせた発停スケジュールの設定と、季節の切り替え時の見直しをサービスにすれば、工事なしで電気代に効く提案になります
  • 設定温度の管理と操作制限。快適性の苦情と電気代のバランスを取る仕事です
  • リモコン運用の説明。フィルターサインやエラー表示の読み方を建物側に伝えると、修理受付の「実は故障ではない」呼び出しを減らせます

まとめ

  • 自動制御は検出部・調節部・操作部の3つの組み合わせです。不調の切り分けもこの枠組みで考えます
  • 制御方式はデジタル式・電子式・電気式。中央監視は表4.1.3のような監視・制御・保全支援の機能を持ちます
  • 室内のセンサーは床上1.5m程度で直射日光・吹出し気流を避け、電動弁は上流にストレーナ、駆動軸は垂直が基準です
  • 試運転は個別運転調整から総合試運転調整へ進め、制御・計測調整報告書に設定値と実測値を残します

出典・参考

関連リンク

※ 2026年10月1日:冒頭で自動制御の構成を言い切る形に改め、公共建築工事標準仕様書(自動制御設備工事編)の制御方式、中央監視の監視制御機能、センサー・電動弁等の取付け基準のチェックリスト、試験・試運転調整の流れ、写真の撮影項目、出典を追加しました。出典で確かめられない「変流量方式が主流」等の記載は改めました。

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